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ダウ・海運高でも拭えない「景気懸念」/後場の投資戦略
[日経平均株価・TOPIX(表)]
日経平均;27569.84;+46.65TOPIX;1924.59;-0.39
[後場の投資戦略]
本日の日経平均は朝方200円超上昇する場面もあったが、結局伸び悩んで前場を折り返した。前日の下げ幅の大きさを考えると戻りの鈍い印象は拭えない。業種別騰落率を見ると海運業の上昇が目立つが、米港湾の混乱が続いているとの報道が買い手掛かりとなっているのだろう。以前当欄で示唆したが、企業の生産活動等を阻害しない範囲において、コロナ禍による財からサービスへの需要シフトの遅れ、感染対策に伴う処理能力の低下などは海上物流のひっ迫を助長するだろう。単純な景気敏感株としてでなく、「現環境下で好パフォーマーになる素地があった」と捉えるべきだ。実際、景気敏感色の強いその他市況関連株は本日軟調で明暗が分かれている。好決算の東エレクは寄り付き直後が本日の高値で、上値の重い展開だ。ここまでの東証1部売買代金は1兆円ほどにとどまっている。
前日はクレディ・スイス証券やJPモルガン証券といった外資系証券が日経平均先物、東証株価指数(TOPIX)先物とも売り越していた。また、先物全体の売買高は低調とまでは言えないものの大きく膨らんだわけでもなく、海外勢の売りの影響が強く出やすかったのだと考えられる。
NYダウの連日の高値更新を受け、本日は海外勢の先物買い戻しに期待する向きもあったが、ここまでの値動きを見る限り限定的だと考えざるを得ない。そもそもNYダウの押し上げ役となったのはヘルスケア、小売といった内需・ディフェンシブ色の強い銘柄だった。10年物国債利回りの低下や原油先物相場の大幅下落から景気減速への懸念が後退したとは考えにくいし、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)が反落したこともあって、日本株への追い風は期待しづらいだろう。
7月雇用統計を受けて一時1.3%台まで上昇した米10年物国債利回りだが、ミシガン大学の8月消費者態度指数の大幅低下などにより伸び悩んでしまった。今晩の米国では7月小売売上高の発表が予定されているが、足元では消費者のセンチメント悪化により市場予想コンセンサスを大幅に下回るといった見方も浮上しているようだ。「市中心理の読み違いがリスク」という当欄での度々の指摘どおりとも言える。結局、金融市場のトレンド転換なるかどうかの判断は26日から開催される米経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」まで持ち越しとなった感がある。
また、このところ新興市場の動向も注目されているので取り上げておきたい。前引けのマザーズ指数は-1.02%と4日続落し、連日で取引時間中の年初来安値を更新。時価総額としては市場全体への影響が大きいわけでないが、従前非常に賑わっていたグローバルW<3936>が2日連続のストップ安比例配分から本日大幅続落している。7月の連休前に直近IPO(新規株式公開)銘柄が急落したのに始まり、その後決算発表もあって、1~数日の短期間で追い証(追加担保の差し入れ義務)発生レベルの大幅安となる新興株がこれまで多過ぎた。決算発表一巡でこうした急落懸念が和らぐのを期待したいが、個人投資家のセンチメントや資金回転が好転してくるには少々時間を要するかもしれない。
アジア市場では香港ハンセン指数が本稿執筆時点で小幅ながら4日続落しているが、やはりと言うべきか、中国メディアの相次ぐ産業批判報道により足元で規制強化への懸念が再燃しているという。国内外でのコロナ禍への懸念も根強く、積極的に戻りを試すための糸口はつかみにくい。後場の日経平均も上値の重い展開になるとみておきたい。(小林大純)《AK》
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