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妊娠中にオメガ3系脂肪酸を摂取、出産後の虐待を抑制できる可能性 富山大の研究
母親などの養育者からの虐待行為は、世界の子供のうち4人に3人が受けているとされ、深刻な問題となっている。虐待行為の背景には社会経済的な要因や環境的な要因もあり、周囲からこれらの要因に介入することは容易ではない。
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だが虐待行為を減らすために比較的行いやすいアプローチとして、妊娠中の母親の適切な栄養摂取による精神面のコントロールが挙げられる。富山大学の研究グループは6日、妊娠中にオメガ3系脂肪酸摂取量が多いと、出産後の不適切養育行動が軽減される可能性があると発表した。
オメガ3系脂肪酸は必須脂肪酸の1つで、代表的なものに青魚に含まれるドコサヘキサエン酸などが挙げられる。このオメガ3系脂肪酸には一般に、人に対する暴力性や攻撃性を抑える効果があることが知られている。また動物実験においては、メス親の養育行動を促進する効果も実証されている。
だがこれまで、妊娠中の人間の母親のオメガ3系脂肪酸摂取量と、出産後の不適切養育行動との相関については明らかになっていなかった。
今回の研究では、約9万人の妊婦を対象として調査を実施。オメガ3系脂肪酸の摂取量は、食物摂取頻度調査票を用いて算出し、生まれた子供への不適切養育行動は自己申告の回答で評価された。その結果、オメガ3系脂肪酸の摂取量が増加するほど、赤ちゃんを叩いたり激しく揺さぶったり、1人で放置するなどの行為が少ないことが分かった。
このメカニズムについては明らかではないが、オメガ3系脂肪酸によるストレス反応の低減効果が作用している可能性は考えられる。また、オメガ3系脂肪酸の抗うつ作用や、生まれた子供自身の攻撃的・反抗的な行動の抑制効果などの影響も考えられる。
これらの研究成果から、妊娠中の母親への栄養指導によって不適切養育行動を軽減できる可能性が示唆された。ただし、今回の結果は生後6カ月までの追跡結果であることや、母親の自己申告に基づく部分が大きいことも留意する必要がある。そのため、さらなる研究によって因果関係をより明確にしていくことが望まれる。
今回の研究成果は6月25日付の「Psychological Medicine」誌のオンライン版に掲載されている。
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