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日本医師会・中川会長が理事長の病院、コロナ「陽性者も陰性者も同室」と職員が内部告発
日本医師会歴代会長の中で、抜群の知名度とカリスマ性を併せ持ったのは武見太郎だ。医師の収入を増加させるために徹底して診療報酬の引き上げを画策し、厚生官僚との派手な立ち回りも厭わない闘争心は、「けんか太郎」の異名に相応しいものだった。
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現在の日本医師会の会長を務める中川俊男氏も、知名度だけでは負けていない。人には新型コロナへの感染防止策の徹底を強く求め、会食や集会参加への自粛を求めるなど、時節柄反論の余地がないことを声高に言い立てる。自らは某代議士の政治資金パーティーに後援会会長として臨席したり、昨夏には自分が唱えた「我慢のお盆休み」時期に寿司デートをしていたことが報じられる。”言行不一致・人には強くて自分に甘い日本医師会の会長”として一躍脚光を浴びた。
5月20日に報じられたのは、同会長が理事長を務める医療法人「新さっぽろ脳神経外科病院」で発生したクラスターだった。
新型コロナウイルスのクラスターが発生すること自体は、不可抗力であり非難されることではない。同病院では即日、公式サイトで「新型コロナウイルス感染症発生のお知らせ」を公表し、職員4人と入院患者7人の陽性を伝えた。更に、保健所への報告と指導を受けながら、院内の感染防止対策を実施し、接触者のPCR検査を実施することを公表した。
同病院では、初めて陽性者が確認された5月15日から1カ月の間で、3人の死者と34人の感染者を数えるに至った。何も知らなければ、5月20日に万全の感染防止対策を組んだ筈の病院でも、深刻な事態が避けられない凶悪なウイルスの跳梁と、社会に響き渡る警鐘の一例になったかも知れない。
週刊文春7月1日号が伝えたのは、職員5人による内部告発だ。HP上には職員数が245人とされている病院で、A・B・C・D・Eと匿名で登場する5人の職員は、クラスターが発生した当時の病院の不適切な対応(陽性者と陰性者を同室に留め置いた)や、入院患者に対する不誠実な姿勢を明らかにしている。
記事によると、陽性者と陰性者が同じ部屋に留め置かれた件に対して、「札幌市保健所へ相談した上で決定した」とする病院長と、「一般論で、陽性者と陰性者を同室に止める指導や助言をすることはない」とする札幌市保健所医療対策室の回答を比較すると、自ずから見えて来るものはある。
適切な対応が実現されてクラスターを押さえ込んでいたら、クラスターを克服した病院として、他の病院に範を示すことさえも可能だった筈だ。病院長によると「(中川俊男氏は)新さっぽろ脳神経外科病院の理事長として、感染に関して病院と頻繁に連絡を取っていた」そうだ。
適切に対応するチャンスは限りなくあった筈なのに、日本医師会会長のお膝元の病院から聞こえてきたのは、陽性者と陰性者を仕切りもない、満床の5人部屋に”放置”したという信じられない事態だ。
日本医師会の前会長である横倉義武氏が「医師会は努力不足」と評する発言が伝わり、東京都医師会の尾﨑治夫会長は臨時会見まで開催して、何やらアピールしている。いよいよ風雲急を告げる日本医師会には、コロナ対策以外にも注目されるテーマがありそうだ。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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