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細胞の老化阻害でがんが発生 その仕組みを解明 京大
Ras 活性化腫瘍がマイクロ RNA によって細胞老化を克服するメカニズム (画像: 京都大学報道発表資料より)[写真拡大]
京都大学は2日、細胞の老化が阻害され、がん化が促進される仕組みをショウジョウバエを使った実験で解明したと発表した。研究グループによれば、今回の研究成果は、新しいがん治療法の開発や抗老化に関する医療分野への応用が期待できるという。
【こちらも】幹細胞が老化でがん化する仕組みを解明 ショウジョウバエで 理研ら
■細胞の老化とがん化の関係
がんは段階を踏んで徐々に発生していくと考えられている。その第1段階が、がん遺伝子の活性化だ。
今回の研究で登場するRas遺伝子は、このようながん遺伝子の1種で、通常は細胞分裂のコントロールなどをおこなっている。しかし、このRas遺伝子に変異が入ると細胞分裂が上手くコントロールできなくなり、細胞が無秩序に増殖し始めてしまう。上述したがん遺伝子の活性化だ。
通常ならこの段階で細胞は自律的に細胞分裂を停止し、がん化にはいたらない。これが細胞老化と呼ばれる現象だ。
細胞老化は細胞のがん化を防ぐための安全装置というわけだ。
■細胞老化が阻害され、がん化が促進される仕組み
上述したRas遺伝子が活性化すると、Pointedと呼ばれるタンパク質が発現する。Pointedには細胞老化を引き起こす働きがある。
ところがYorkieと呼ばれるタンパク質には、このPointedの発現を抑える働きがある。
YorkieにはmiR-9cおよびmiR-79と呼ばれるマイクロRNAを発現させる働きがあるが、このmiR-9cとmiR-79には、Pointedの発現を抑える働きがあるためだ。ちなみにマイクロRNAは、直接タンパク質を合成するものではないが、タンパク質の合成に関わるmRNAを破壊したりなどすることで、タンパク質の合成を抑制する働きがある。
つまり、Yorkieが活性化しmiR-9cなどのマイクロRNAが発現することで、Pointedの発現が抑制され、がん化を防ぐ安全装置である細胞老化が阻害されて、がん化が促進されるというわけだ。
これらの因子群は基本的にはヒトにおいても保存されている。そのため、研究チームによれば、同様の仕組みはヒトにおいても働いている可能性があり、今回の研究成果はヒトにおける新しいがん治療法の開発や、抗老化に関する医学分野への応用が期待できるという。(記事:飯銅重幸・記事一覧を見る)
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