関連記事
高精度な緊急地震速報の予測手法を開発 地震観測網の統合で 京大ら
地震が多く発生する日本において、緊急地震速報は防災上非常に重要な警報の1つである。だが常に正確な地震の予測が出来るとは限らず、揺れが小さい地震に対しても緊急地震速報を出しまうことも課題とされてきた。京都大学、気象研究所、統計数理研究所らの共同研究グループは7日、複数の地震観測網を統合した予測手法を開発したと発表した。
【こちらも】小地震と大地震、揺れ始めでは区別できない 東大の研究
従来の地震予測では、観測点での初期の微小な振動を元に計算を行うIPF法が用いられていた。それぞれの観測網で使用されている地震計のセンサによって計算の仕方が異なるため、一部の観測網のみが利用されているのが現状である。緊急地震速報の場合は、気象庁と防災科学技術研究所の地震観測網が使われており、現在のIPF法では、各々の観測点で初期振動から震源や震度を計算している。
そこで今回の研究では、これまで観測点で行っていた計算を中枢サーバーでまとめて行うというアプローチが採られた。そのため、観測網に応じて初期振動の情報をフレキシブルに計算することが可能となり、複数の地震観測網を統合した予測を行うことが出来るようになった。研究グループはこの方法を「拡張IPF法」と名付けている。
研究グループは拡張IPF法を用いて、2020年に発生した地震についてシミュレーションを行い、従来の方法との比較を行った。速報発表にかかる時間を比較すると、ほとんどの地震において拡張IPF法の方が早い発表が可能であると判明。また、従来の方法で過大な予測となった2020年7月の鳥島沖地震でも、正確な予測を行うことが出来た。
気象庁では、拡張IPF法の概念を元に緊急地震速報に使用する予測の仕組みを開発中である。観測網を統合することにより、特に観測点が少ない地域での緊急地震速報の精度向上が期待される。
今回の研究成果は、「Bulletin of the Seismological Society of America」誌のオンライン版に4日付で掲載されている。
スポンサードリンク