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日本ガイシのNAS電池は、カーボンニュートラル実現の救世主になるか!?
電力貯蔵用NAS電池(画像: 日本ガイシの発表資料より)[写真拡大]
2050年を目途に「温室効果ガスの排出量を実質ゼロ」とする目標(カーボンニュートラル)が、現政権の公約として掲げられている。世界主要国の目標でもある「カーボンニュートラル」の推進には、期待がかかる。既に諸々の施策が論じられているが、注目して見守りたい。
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そうした中、「当社が、社会に貢献できる時代が来ていると感じる」と公言する経営者が登場している。日本ガイシの大島卓社長である。その背景は以下の様な具合だ。
★カーボンニュートラルを実現するには、太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーの拡充が必要だ。だが問題点もある。発電出力が「天候」等に左右されかねない、不安定な電源という点だ。
★脱炭素という観点から、電気自動車の普及が必要となる。ただしEVの普及にもやはり充電需要に、再生可能エネルギーが不可欠となる。
★では再生可能エネルギーの問題点を解決するには、どんな状況が不可欠か。再生可能エネルギーにより出力された電気を貯めておく、大容量の蓄電池を社会インフラとして整備しておかなくてはならない。
★当社は大量の電気を貯めて置けるNAS(ナトリウム硫黄)電池を手掛けてきた。いまこそ「社会に貢献できる・・・」。
という次第。
改めて日本ガイシの事業を調べてみた。20年3月期の部門別売上高構成比率は、以下の通り。
『セラミックス事業』―2517億8500万円(総売上高比率、約57%)。ガソリン車用GPF(排気ガスを処理するフィルター)主力。
『プロセステクノロジー事業』―942億9600万円(同約21%)。半導体製造用製品、車載リチウムイオン電池が軸。
『エレクトロニクス事業』―554億2600万円(同約12.5%)。ヘリウム銅製品やSAW(中心周波数の帯域を決めることができる)フィルター用複合ウェハー・ディスクドライブなど。
『エネルギーインフラ事業』―433億7700万円(同約10%)。電力貯蔵用NAS電池の製販。
適切は言い方ではないが、売上高4番目の事業が「カーボンニュートラル」実現に、必須のインフラとなってくるというわけだ。
今3月期を「コロナ禍の影響による経済動向を読み切れない」とし、期初計画「未定」でスタートしたがその後予想値を発表。そして3月22日に上方修正し、「売上4450億円、営業利益460億円、純益340億円」目標。第3四半期の累積実績は目標値に対し「72%、73%、77%」。
アナリストは「NAS電池効果は現時点では断じきれないが、株価は明らかに大きな材料として評価している」とする。本校作成中の時価は2000円トビ台。3月につけた年初来高値2153円のゾーン内にとどまっている。IFIS目標平均株価:2076円とほぼ同水準。「社会に貢献できる時代」が数字に示されてくることが、株価にもかっこうのサプライズになろう。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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