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原油高が及ぼす様々な影響とは
●原油が一段高
8日、原油先物は上昇。北海ブレント原油先物5月限は、コロナ後初の1バレル=70ドル台を突破した。
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イエメンの親イラン武装組織フーシ派によりサウジアラビアの石油関連施設が攻撃を受けたことや、米国の原油在庫が減少したこと、米国上院で総額1兆9000億ドルの新型コロナウイルス対策が可決したことなどが要因となった。
地政学的な要因、需給の回復、経済対策への期待などの複数の要因が重なって上昇している。
●減産継続
石油輸出機構(OPEC)とロシアなどの非加盟産油国で構成されるOPECプラスは4日、現在の協調減産を1カ月延長することで合意した。サウジアラビアも日量100万バレルの自主減産を継続することを表明している。
市場は増産すると見ていたが、これを受けて原油価格は上昇していた。
OPECとOPECプラスは、原油価格が上がっているものの、まだまだ需要の回復は脆弱であるという見方をしたのだ。
●このまま原油高が続くことの影響は?
原油先物は、サウジアラビアの石油関連施設が攻撃を受けた時は上昇したが、被害が大きくなかったことが伝えられると、一時的に急落した。
OPECの見立て通り、まだまだ国と国の往来には制限があり、ロックダウンを継続している国も多い中、原油需要の回復は途上であり、その勢いは脆弱である。
それでも、米国内で稼働している石油掘削リグ数の回復が顕著になるなど、明るい兆しも出てきている。
中国の景気回復も原油市場にはポジティブなニュースであるが、米国も5日に発表された雇用統計が予想を上回ったことや、ISM製造業景況指数も3年ぶりの強い数字となるなど、需要が確実に回復していることを裏付けるニュースが出てきている。
一方で、米国債の長期金利上昇・ドル高に対する警戒感があり、さらに原油高も加われば、インフレ懸念となり、株価にも影響を与えることになりかねない。
原油高が続くことで協調減産の足並みが乱れることや、コスト高による経済への悪影響も懸念され、このまま一本調子に上がり続けることは決して好材料ばかりではない。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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