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新しい大統領選に続く、新しい仕手戦の根源 ゲームストップ社株暴騰の理由 前編
混迷を極めたアメリカ大統領選挙は、約200年ぶりの議会襲撃事件など様々な過程を経てバイデン大統領の誕生に結実したが、大統領就任式の約1週間後である1月27日、今度は株式市場において新しい戦いが始まった。アメリカ株式市場における、ゲームストップ社の株価暴騰である。
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ゲームストップ社はアメリカの大手ゲーム小売会社ではあるが、主に据え置き型のゲーム機・ソフト販売を行っており、スマホアプリゲーム普及の影響によって苦境が続くなか、近年は赤字決算が続いていた。
そこに追い打ちをかけるようなコロナ禍である。当然のことながら、昨年12月に発表された20年第3四半期の決算においても、売上高は前年同期比30.2%減、純損益は1,880万ドルもの赤字決算を報告していたのである。
もっとも、ゲームストップ社の株価については、近年1株10~20ドル程度で推移しており、ほとんど注目を集めていない存在であったが、今年に入ってから少しずつ株価が上がり始めていた。
そして、1月27日に1株100ドルに達したあたりから株価の急騰が始まり、株価は一時1株400ドルに達した後、約300ドルの暴落となるなど、全く注目されていない企業の株価に対して乱高下が続いたのである。これはまさに「仕手株」の動きだ。
経験のある投資家は、決算の発表や将来の株価に直結するようなニュースが無いところでの値上がりを確認した場合、「好決算の発表」や「何かしらのポジティブなニュース」が材料として隠れていると勘ぐることになる。
その動きが事実であれば、確かに株価を動かす材料がその後に公開されるため、いかにその機微な動きに気付き、先回りして株価を購入することができるかという手法を使う投資家も多く存在するのだ。
そして、そんな投資家心理を利用するのが「仕手株」を演出する仕手筋というグループである。仕手筋は全く注目を集めていない企業の株価を意図的に釣り上げ、投資家に何かしらの材料があることを演出した上で、さらに株価の上昇を仕掛けていく。
そして、投資家が買いそびれてしまったと焦り、高値で購入を始めた頃には仕手筋はすでに持ち株を売り切って莫大な利益を得ており、残された投資家は買い支えが無くなったことで暴落へと見舞われることになるというわけだ。もちろんこのような意図的な株価の釣り上げは相場操縦にあたり、金融商品取引法違反ではある。(後編に続く)(記事:小林弘卓・記事一覧を見る)
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