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信越化学の市場人気が高い背景
信越化学工業(以下、信越化学)の存在が気になる。周知の通り年末年始相場は日経平均株価で見る限り昨年の大納会から、4日連続して値下がりした。初の値上がりは「松の内最終日」の7日。434円の大幅反発となった。本稿を記している8日も648円高と続伸している。
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フッと思ったのは7日の相場。日経平均の前日比1.60%高に対しこの日最も値上がり率が高かった構成銘柄はファナックの4.34%。日経平均の上昇/下落影響率の高さで定評?がある銘柄だった。そして第2位が信越化学で4.31%の上昇。8日も昨年来高値を更新する(1万9030円)など2.76%の上昇となった。昨年終盤に入り、時折「上昇寄与率上位」に名前を出していた。
改めて大納会以降の動向をチェックしてみた。30日に101万3600株の出来高で終えた後、大発会73万株・5日81万株こそ水準を下げていたがその後118万5700株/166万7500株/150万1000株と商いの膨らみ傾向を明らかにしている。
が、今3月期の収益動向は10数年来の連続営業増益に対して「7.2%の営業減益(3770億円)」計画。現に4-9月期を前年同期比12.5%の営業減益で通過している。しかし配当予想は20円の連続増配(240円配)。
信越化学の動きをどう捉えるべきか。前期のROE(12.3%)/ROA(13.3%)が示す通り、儲け方を心得た企業であることは論を俟たない。が、営業減益が明らかな中での出来高を伴った高値追い。何を語ろうとしているのか。
実は私は丑年相場について、自らのデザインが未だ描けていない。しかしおぼろげながら「アフターコロナ」を見据えた相場展開があっても不思議ではないな、という思いはある。「信越化学の動向はそれを暗示してくれているのではないか」という見方が、徐々にではあるが膨らみ始めている。
「現金同等物(キャッシュフロー計算書上の)」-「貸借対照表上の有利子負債」=ネットキャッシュフロー。俗にその多寡により「キャッシュリッチ」などと呼ばれる「金持ち企業」の存在が浮上する。昨年12月初旬段階で、その伝で言う金持ち企業が「第1位ソニー」「第2位任天堂」そして第3位として「(半導体シリコンウエハで世界首位の)信越化学」がカウントされている。
無論キャッシュリッチ企業だからと言って、単純には喜べない。後生大事に抱え込んでいるままでは、お金は新たなお金を生まない。コロナ後を見据えて新しい時代に求められる製品・サービスの開発投資に潤沢な資金を投じていかなくては、意味がない。
どこかに信越化学のアフターコロナに対する決意のほどは示されていないか。探した。IR資料の中に「世界経済は・・・需要の減退・変容が今後も続きうる状況。だが当社グループは、すべての事業を伸ばす取り組みを進める。開発投資も緩めず早期の実現を図る」なる内容のくだりを見出した。
信越化学「人気化」は、相場が求める「今年の相場展開の(求めたい)在り様」を示していると言えるのではないか!?(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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