関連記事
トリプルブルーの影響と暴騰する仮想通貨の今後 後編
しかし、コロナ禍対策としての各国の財政出動や金融緩和は、今のところ飽和した緩和マネーとして市場に溢れかえっている。その一部が仮想通貨に流れて価格上昇を引き起こしていると考えてよいだろう。仮想通貨の中でも、ビットコインは2017年12月につけたこれまでの最高値約250万円を超え、2021年1月10日現在で400万円をオーバーしている状況だ。
【前回は】トリプルブルーの影響と暴騰する仮想通貨の今後 前編
昨今のビットコイン最安値は、コロナ禍後の2020年3月につけた約50万円であるため、1年もしないうちにビットコインの資産価値が8倍に膨れ上がったことになる。ただし、節目であった200万円の大台を抜けたのが2020年12月中旬であることから考えれば、約半月の期間で200万円もの価格上昇を成し遂げているのだ。暴騰としかいいようがない。
もっとも、これらの暴騰を引き起こしているのが緩和マネーであるなら、大統領選挙後に仮想通貨が高値を目指していったことも納得できるわけだが、その一方で仮想通貨は、ドルに対して逆相関となりやすい特徴がある。金利上昇に伴う今後のドル高の影響を、仮想通貨がどれほど受けるかについては十分に注意すべきだろう。
最後に、コロナ禍を経たことで、仮想通貨がゴールドと同じく「無国籍通貨」や「安全資産」の意味合いを強めている可能性があることについて触れておきたい。日本国内で生活をしているとその恩恵に気付きにくいが、自国通貨である日本円はリスクオフ資産としてこれまで認知されてきた。
例えば、もし昨今のトルコのように自国通貨安(トルコリラ安)が続き、5年間で資産価値が4分の1になったらどうだろうか(5年前は約40円、現在約13円)。つまり、特に国内情勢が不安定な国においては、自国通貨として資産を保有しているよりも、「無国籍通貨」が魅力的だったという側面がある。
もちろん、日本は決して国内情勢が不安定だったとはいえないが、コロナ禍はそんな日本をも巻き込んでしまったと考えれば、いずれの国の通貨ではなく「無国籍通貨」であることが、より一層好まれたと考えられる。
ここ数年の日本円の値動きについては非常に緩慢であり、これまでのように株価に逆相関となっているわけで、リスクオフの反応も弱い。コロナ禍を経た結果として「無国籍通貨」でもあり「安全通貨」でもある仮想通貨が、いずれは日本円のリスクオフ資産に成り代わる時代が来るのかもしれない。(記事:小林弘卓・記事一覧を見る)
スポンサードリンク