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コロナ・リストラ、再加速 リーマンショック水準へ さらに増加の見込み
東京リサーチが上場企業「早期・希望退職」調査。募集規模は、90社、1万7697人。リーマンショック直後2009年に次ぐ水準[写真拡大]
新型コロナ感染症の3波は11月下旬から再生産数も1.0周辺に落ち着き、横ばい傾向が続き、爆発的拡大はないようだ。しかし、長期に渡る自粛ムードの中、業界により差はあるものの日本産業全体としては大きな停滞を見せている。こうした中、企業の倒産・休廃業が増大しており、上場企業でも昨年を超えるペースでリストラ(早期・希望退職)が推し進められてきたが、このところその勢いはさらに加速度を増し、来年は今年にも増して深刻な状況となりそうである。
東京商工リサーチが今年の上場企業「早期・希望退職」募集状況についての調査レポートを9日に公表しているが、これによれば、12月7日までの上場企業の早期・希望退職者募集は90社に達し、募集社数はリーマンショック直後の2009年の191社に次ぐ高水準に達している。募集人数は判明しているものだけで1万7697人、12年の1万7705人と同程度で、募集社数と同様に09年に次ぐ水準となることが確実だ。募集企業の業績をみると、直近の本決算での赤字が50社、構成比55.5%に急増、新型コロナの影響で業績悪化に陥った企業が従来型の「赤字リストラ」を実施している状況のようだ。
業種別でみると、アパレル・繊維製品が17社で構成比は18.8%と最も多く、全体の2割を占めた。次いで、米中貿易摩擦と新型コロナの影響が大きい自動車関連が11社、同12.2%、市況の悪化や拠点の集約を背景とした電気機器10社、同11.1%、居酒屋チェーンの運営会社を中心に感染防止で外出自粛の影響が長引く外食が7社、同7.7%と続いている。外食は、7社すべてが募集の背景に新型コロナを挙げているが、感染拡大に伴い、チェーン業態を中心に、年をまたぎさらなる人員削減の増加が心配される。
昨年は年間1000人以上の大型募集は4社だったが、今年は12月7日までに2社にとどまっているものも、募集人数300人以下は67社、構成比74.4%と7割超を占め、100人以下の募集が44社、同48.8%と約半数を占めており、中堅企業の実施に加え、部門統合や縮小を行う大企業での小規模募集の増加が目立つ。
2021年では、すでに9社の募集が判明しており、人数は判明分で1950人にのぼる。業種では自動車関連が3社で最多で、次いで、サービス業が2社と続いている。レポートでは「21年は、コロナが直撃したBtoC業種に加え、今秋以降、増加している製造業でも構造改革を大義名分とした人員削減が本格化する可能性がある」と予想されている。(編集担当:久保田雄城)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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