関連記事
オーガニック化粧品、初めての前年割れ 新型コロナによる店舗休業が要因
矢野経済研究所が自然派・オーガニック化粧品市場を調査。2020年度の市場は前年度比92.1%の1290億円と予測。11年度以来、初めてのマイナス成長[写真拡大]
オーガニック化粧品とは化石燃料由来の化学工業成分を用いずに天然植物成分を主要な成分とする自然派化粧品のことだ。2001年に環境NGOアイシスガイアネットが「オーガニックコスメ」という用語を用いたことが始まりのようであるが、漢方も含む植物療法を再評価し、環境にも配慮し、肌にも優しい美容製品で新しい生活スタイルを作り出すというコンセプトから始まっている。
オーガニック化粧品というカテゴリーが生まれてから久しいものの、これまで評価基準が明確化されてこなかったため、消費者は商品選びの際に、その安全性や品質で戸惑うことが少なくなく商品のロイヤリティにも課題があったと言える。しかし、今年7月、日本ナチュラル・オーガニックコスメ協会が12項目を審査基準とした日本独自の認証制度をスタートさせたことで、この分野のさらなる拡大が期待されている。
16日に矢野経済研究所が「自然派・オーガニック化粧品市場に関する調査」の結果レポートを公表している。これによれば、19年度における自然派・オーガニック化粧品の市場規模はメーカー出荷金額ベースで1400億円、前年度比101.7%となっている。00年代に入り、05年の改正薬事法施行により異業種企業やスタートアップ企業も市場参入するなどして市場は順調に拡大してきたが、過去5年の推移を見ても15年度には1175億円、16年度は1237億円、17年度は1343億円、18年度は1377億円、そして19年度1400億円と順調に拡大傾向で推移している。
しかし、今年度20年度の市場規模は前年度比92.1%の1290億円と大幅な縮小になると見込まれている。レポートでは、この縮小予測の背景として新型コロナウイルス感染症拡大に伴う店舗休業期間があったことをあげている。比較可能なデータのある11年度以降で初めてのマイナス成長の予測となる。新型コロナ関連の店舗休業による影響はECチャネルによって一定割合でカバーされたようであるが、カウンセリングを必要とする新規顧客の獲得は鈍ったものとみられ、また既存客もすべてを取り込むことは困難であったと見られている。
レポートは今後の市場について「オーガニックの認証制度は欧州のエコサートやコスメビオ、米国のUSDAなど数多く存在するが、日本の認証制度制定が市場に与える影響と制度の普及が進むかどうかが注目される」としている。(編集担当:久保田雄城)
■関連記事
・感染防止アイテムの影響で意識が高まるスキンケア最前線
・国内化粧品の販売チャネル。ドラッグストア等実店舗は不調。ECにシフト傾向進む
・6月の百貨店、2割の大幅売上減少続く。全館営業再開で徐々に客足は回復
※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
スポンサードリンク