【どう見るこの相場】「音楽が鳴っている間」は“純粋”上方修正の割安株が「掉尾の一振」候補株

2020年12月7日 09:26

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 投資家は、「音楽が鳴っている間は踊り続けなければならない」からつらい。まるで「フーテンの寅さん」並みだ。米国の株価指数が揃って史上最高値を更新し、日経平均株価が29年7カ月ぶりの高値まで買い進まれており、上昇スピードの余りの速さや、グロース株とバリュー株が日替わりで忙しく人気交代する不安定性などに警戒感を強めても、ジョン・テンプルトンが、「強気相場は懐疑のなかで育つ」と教えたように、自らを鼓舞するように強気相場に追随しなければならないからだ。

 いまマーケットで鳴り続けている音楽といえば、差し詰め「コロナ・ワクチン賛歌」だろう。米大手製薬会社のファイザーが共同開発したワクチンが、週明けの明日8日にも英国で接種が開始され、これが12月中旬には米国にも広がり、経済活動の正常化が早期に実現される。日本国内では、新型コロナウイルス感染症の新規感染者や重症者が過去最高を更新し、医療体制の崩壊も懸念される中で、感染拡大の第3波を前に政府が「GoToトラベル」の期限延長を検討し、ブレーキとアクセルを踏み間違えていると批判が高まるなどの「不協和音」も聞こえてきているが、株価が、「クリスマスラリー」や「餅つき相場」、「掉尾の一振」期待でフィーバーすれば「ワクチン賛歌」の大合唱のなか掻き消されることは間違いない。

 ということでここは、師走相場でもう一回転、二回転とチャレンジせざるを得ない。もちろん年内最終商いだから、勝ち組投資家は連戦連勝、負け組投資家は損失挽回のために、リスクを最小化してリターンを最大化することが不可欠である。しかしそんな夢のような必勝法があるのか?マーケットの一部には、今月12月15日以降にラッシュとなるIPO(新規株式公開)株が、「掉尾の一振」銘柄との観測もあるが、もちろんこれは先着順で忙しいことこの上ない。そこで必勝法になるかどうかは定かでないが、リスクを最小化するために重視したいのが銘柄個々のファンダメンタルズの業績動向である。

 今年10月以降、2月期決算会社、3月期決算会社が第2四半期業績を発表し、その他12月期決算会社も第3四半期業績を開示、その際、中間期業績や通期予想業績を修正し、上方修正、下方修正が交錯した。また上方修正銘柄のなかでも、中間期業績のみにとどまる銘柄、通期業績まで上方修正した銘柄、赤字幅が縮小した銘柄、赤字から黒字転換した銘柄、期初の減益予想の減益率が縮小した銘柄、減益予想が増益転換した銘柄、連続増益予想の増益率が拡大した銘柄など修正内容は千差万別であった。リスクを最小化するためには、‶純粋”の業績上方修正銘柄ともいうべき通期業績の増益転換銘柄、連続増益銘柄が要注目となる。この銘柄グループに属する村田製作所<6981>(東1)、東京エレクトロン<8035>(東1)などの主力ハイテク株が、すでに上場来高値を更新しているが、いかんせん値がさ株で投資採算的にも割高である。ということで割安か割高かで銘柄をセレクトして主力ハイテク株追いを期待したい。

 この10月以降では、このセレクト基準をクリアした銘柄を手作業で集計したところ約140銘柄が浮上した。コロナ防疫関連株や巣ごもり消費関連の食品株、小売り株、機械株、陸運株などが多数派となっているが、あえて注目したいのは3つの銘柄群である。バリュー株の一角を占める海運株と地銀株、さらにグロース関連の小型株である。海運株などは年初来高値追いと人気化しており、織り込み済みとして「掉尾の一振」が「三振」に終わる懸念もあるが、フアンダメンタルズが上向きなだけに来年新春相場での「年頭の一振」も想定範囲内になる。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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