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バイデン大統領誕生に期待したリスクオン相場の転換期はここだ 後編
さて、大統領が民主党、上院が共和党、下院が民主党となったところで、政権運営はどのような流れになっていくのだろうか。「ねじれ」政権は経済を最優先としたトランプ政権からの方向転換を叶えることができるのだろうか。
【前回は】バイデン大統領誕生に期待したリスクオン相場の転換期はここだ 前編
まず、トランプ大統領の独裁のように見えるアメリカの政治については、日本やイギリスと同じ両院制となってはいるものの、実際には大統領は議会と完全に独立しており、大統領が1議員から選ばれることが無いことからも、日本の総理大臣の権限とは大きく異なる。
大統領の任期は1期4年で、再選は1回までと決められているほか(最長8年の任期)、議会は大統領を不信任とできない代わりに、大統領も議会を解散することはできない。また、先に述べた一般教書内で考えを述べることはできるものの、法律案や予算案はあくまでも議会で決められるものだ。議会は大統領を抑制するためにも存在しているといえるだろう。
大統領が持つ強い権限としては、議会から上がってきた法律案や予算案に対する拒否権であり、これが行使された場合には議会両院で3分の2以上の多数で再可決される必要がある。つまり、共和党も民主党も議会両院で3分の2以上の勢力が無いわけだから、大統領に拒否された時点で廃案の可能性が高い。
この「ねじれ」の状態が持つ意味を考えれば、バイデン氏の公約であるものの、とりわけ株式市場に影響が強い法人税増税案が簡単に可決されていくとは考えづらい。一方で、共和党上院議員の反対の中、あと1歩のところまで進んだコロナ対策に対する大規模な財政政策については、見込める可能性が高いといえよう。結果としてバイデン氏の勝利に株式市場はリスクオンで反応したのだろう。
では、この株式市場のリスクオンはいつまで続くのだろうか。「Buy the rumor, sell the fact(噂で買って事実で売れ)」とは古くから知られている相場の格言ではあるが、この格言を当てはめてみるとどうだろう。ちなみに、この格言でいう「噂」とは物事が確定する前であり、「事実」とは物事が確定したタイミングを意味している。
つまり、相場が転換するタイミングは「1、バイデン大統領就任の確定(12月14日の選挙人投票日、もしくは1月20日の大統領就任宣誓日)」「2、民主党が求める大規模な財政政策の成立」「3、コロナワクチンが実際に提供されるようになるタイミング(来年上半期頃)」「4、次の上院下院選挙(2年後)で民主党が上院下院共に過半数となったタイミング」などが挙げられるのではないか。
世界各国がコロナウィルスのワクチン無しで乗り越えることを余儀なくされるこの冬に、どれだけ経済が耐えうるかについては誰もわからないが、今の相場を楽観視せず、「噂」でリスクオンとなっていることを念頭に置いた上で、相場を注視していくべきだろう。(記事:小林弘卓・記事一覧を見る)
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