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「カシオの生産リードタイム短縮」から見るトヨタの強さ (1)
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新型コロナウイルスの感染拡大により、急激なショックに見舞われてみると、「生産リードタイム」の問題が大きくのしかかってきている製造業は多いはずだ。都市「ロックダウン」などで、販売現場が急激な売り上げダウンに陥り、一方で工場生産を急には止められない企業が多かったものと見える。また中国市場が急回復しても、増産が追いつかず「売るものがない」となっているのであろう。
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その中でトヨタは、すました顔して「業績回復」を発表している。この背景には「ジャスト・イン・タイム」が働いて「生産減・増」がついてきていることが見える。
■総資金量
カシオは生産計画のリードタイムを「3カ月->2カ月」としたと発表している。
日経XTECH 『「たかが1カ月」は30年来の宿願、カシオのコロナ後生産改革』の中で、❝「たかが1カ月」は30年来の宿願❞と題しているのだが、まずこれは「60年来の製造業の命題」といえるのだろう。つまり「多種少量生産」に移行してきたのは、「生産リードタイム」を縮めることで、「資金量を削減する」ことが目標なのだ。
この「総資金量」が分かりにくいようで、もちろん決算書に上る数字ではあるのだが、「資産勘定」が「多い、少ない」を見定める基準が曖昧だ。むしろ「資産勘定」は資産なので多くても見逃されてしまう。「適量」が分からないのだ。「資本回転率」などで推し量ろうとしているが、業種・業態で大きく基準が変わる。
カシオが3カ月前に立てた生産計画で「資材調達(仕入れ)->製造->販売」出来るとすると、厳密には「販売在庫、すなわち完成品在庫」も生じるのだが、ここでは製造終了が販売、換金と想定しておくこととする。実際には、完成品在庫を生じさせない生産販売がインダストリー4.0(第4次産業革命)の目標で、ネットを通じない販売でも、これは可能だ。現在でも即座に(提案型販売)採用すべきだ。
「生産リードタイムが1カ月縮まった」だけと考えるのは、事務と実務が結び付いていない証拠だ。「1カ月縮まると1カ月分の仕掛在庫が必要なくなる」、それはすなわち「1カ月分の仕掛在庫資金がなくなる」ことだ。しかもそれだけでなく、「在庫面積・製造面積・作業人員・在庫運搬設備」など、1カ月分が消えてなくなるのだ。
(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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