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さらに、トランプ大統領が「不正の温床」として郵便投票に反対していることも大きな問題だ。郵便投票は、単純な郵便投票と不在者投票とに大別されるが、単純に投票用紙が各投票者に送られる郵便投票に比べて、投票できない明確な理由を元に投票用紙が送られる不在者投票のほうが不正は少ないと、トランプ大統領が主張しているのだ。
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この指摘については、元々郵便投票に強かったのがトランプ大統領の所属する共和党であるため、ややナンセンスにも聞こえる。ただ今回は、これまで投票率が低かったマイノリティや若者といった民主党支持層の投票率が上がることから、民主党への投票が増えるとの見方が強い。
またトランプ大統領は、2020年6月に入って郵政トップを自らの支持者であるルイス・デジョイに変更しており、彼の郵政改革により大幅なコストカットを続けていることで郵送物の配達遅延も問題となっている。
いずれにせよ、トランプ大統領が投票結果に難儀を付けて裁判に持ち込もうとするのであれば、正しい結果についてはさらに先延ばしになる可能性もある。2020年9月に他界したリベラル派のギンズバーグ連邦最高裁判事の代わりに、トランプ大統領寄りであるといわれている保守派のバレット判事を駆け込み指名したことも、裁判に備えるためではないかとの憶測がでるほどだ。
バレット判事が指名されたことで9人中6人の保守派判事が就任することになったわけであるが、もっとも、妊娠中絶や同性愛の反対など、トランプ大統領寄りで保守的な価値観が今後の裁判結果に反映される可能性はあるものの、大統領選挙に関してトランプ大統領に有利になるような便宜を働くとは考えにくいだろう。
最後に大統領選挙結果が与える影響について触れておきたい。どちらが当選しても、当面はコロナウイルス対策としての大規模財政出動により、年末相場に向けて株価は上昇していくと予想される。ただし、法人税増税やGAFA解体などを掲げている民主党のバイデン候補が当選すれば、いずれはその影響で株価は頭打ちになる可能性が高いだろう。
そして、大統領選挙に隠れているものの、上院・下院議員の改選についても重要だ。今回改選される上院35議席のうち、改選前の共和党23の議席から民主党が4つの議席を奪うことができれば、民主党が多数派となる他、現在民主党が多数派となっている下院についても435人すべてが改選となるのだ。両院とも同一党派で抑え円滑な政権運営ができるのか、ねじれ国会になるのかについては、大いに注目すべきであろう。(記事:小林弘卓・記事一覧を見る)
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