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オーストラリアがマイナス金利を採用する日はくるか
●10月の利下げは見送り
豪・ウエストバック銀行は、10月6日にオーストラリアの中央銀行にあたるRBA(オーストラリア準備銀行)が0.25%から0.1%に利下げすると予想していた。
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10月の利下げは政府予算案の発表を優先するためか見送られていたが、11月3日の理事会で利下げする可能性は高いと見られている。
かつてはニュージーランドドルと並ぶ高金利通貨だった豪ドルも、今や低金利通貨の1つとなっている。今後ゼロ金利、さらにはマイナス金利もあり得るのだろうか?
●高金利通貨だった豪ドル
リーマンショック前には政策金利が7.25%あり、外貨預金としてもスワップ金利が高利回りなFXの投資先として人気だった。
リーマンショック直後に3%まで下げたが、2011年には4.75%に1度戻したが、その後高金利を維持できなくなり、2016年には1.6%まで下げて、やがて米国も景気回復で段階的に利上げを行い、2018年には逆転するようになっている。
オーストラリアは、1990年初めから30年近く経済成長を続けてきた。その背景には、中国があった。資源国であり、中国には、鉄鉱石などの鉱物資源から、観光客や留学生まで依存度が高い。
●中国との関係も悪化で、マイナス金利まであり得るのか?
オーストラリアは新型コロナウイルスの影響で、失業率が高止まりしており、2020年4-6月期のGDPも前期比7.0%減となっている。
6日にはインフラ投資や減税を中心に、今年度から4年間で総額980億豪ドル(約7兆4000億円)の経済対策を打ち出している。
中国とは、新型コロナウイルス感染拡大の初期対応の検証などを巡って関係が悪化し、中国が報復としてオーストラリア産牛肉の輸入停止や大麦への関税などを打ち出した。
観光や留学の渡航の中止も警告しており、オーストラリアにとっては関係悪化が死活問題になりかねない。だが中国からしても、鉱物資源をオーストラリアに依存しており、簡単には関係を断ち切れない。
オーストラリアからすれば、関係は切れなくとも中国依存を見直さざるを得なくなる。
新型コロナウイルスの収束も見通せない中で、経済の回復と中国依存の脱却のために、さらに断固とした財政政策や金融政策も求められる。
さらなる利下げ、ついにはマイナス金利が選択肢となる日も近いかもしれない。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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