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同じ型の陶器から世代を跨いで制作した職人を識別 日英豪の共同研究
印プラデーシュ州の職人の陶器制作から判明した定量的な差(画像:神大の発表資料より)[写真拡大]
神戸大学は9日、世代を跨いで制作された定型の陶器から、制作した職人を定量的に識別可能であることを発見したと発表した。
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■南アジアの職人の制作データを分析
人類はさまざまな技術を同じコミュニティや後世の人たちに伝承してきた。こうした技術のひとつとして、陶器の制作が挙げられる。大衆向けの定型の陶器は無名の職人によって制作されている。神戸大学、英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン、豪ディーキン大学の研究者らから構成される国際共同グループは、こうした定型の陶器を制作する職人の個性に焦点を当てた。
最初に調査の対象となったのが、インド北部のウッタル・プラデーシュ州の陶器制作コミュニティだ。2つの異なるコミュニティで職人が伝統的な定型の陶器を制作する映像を撮影し、制作過程での陶器の「かたち」の変遷を解析した。
その結果、定型の陶器でも職人ごとに定量的な違いがあることが判明した。また、制作過程での陶器の「かたち」や職人の動作などについて、職人ごとで大きな変動幅があることも明らかになった。
研究グループはさらに、ネパール・バグタプルにある陶器の工芸で同様の解析を行った。その結果、制作中の動作の時系列で各職人を区別できることが判明。
■文化継承の新しい視座を提供
陶器制作等の文化の伝承理論は従来、技術の伝播を模倣や情報の伝達とみなし、理論モデルが構築されてきた。今回の研究成果はこれまで無視されてきた職人ごとの技術の差を明らかにするものであり、職人が技術を身に着ける能力やその過程に光を当てるものだという。
今後、本手法により、作者不明の考古学遺物群から職人の特定ができるかもしれないと、研究グループは期待を寄せている。
研究の詳細は、科学誌PLoS ONEにて9月22日と今月1日付で掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る)
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