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メキシコ湾のハリケーンで原油価格の上昇は続くか?
●大型ハリケーン「デルタ」がメキシコ湾に接近
大型ハリケーン「デルタ」がメキシコ湾に接近したことで、石油生産施設では作業員が避難し生産は中断している。ハリケーン襲来でメキシコ湾岸の石油生産は約30%が停止していると、米安全環境執行局(BSEE)が発表している。
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WTI原油先物価格は40ドルを割っていたが、9日にかけて一時41.5ドル近くまで上昇している。
●各国は減産を続けている
石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどの非加盟国のOPECプラスは減産を続けている。
新型コロナウイルスの感染拡大により、航空機が飛ばなかったことや首都封鎖などの影響を受けて、原油の需要は大幅に減少し、価格も大幅に下落した。
4月20日のNY原油価格先物価格では、一時1バレル=マイナス40.32ドルをつけ、原油先物市場の歴史で初めてマイナス価格を記録。理屈上、金を払って原油を引き取ってもらうような状態だった。
そもそもコロナ禍の何年も前から、供給過多になっていた。今後も、燃料効率の向上や電気自動車の普及等による電化推進で、原油の需要は伸びないとも言われている。
●原油上昇は一時的なものか
メキシコ湾岸を襲うハリケーンは今回だけではない。8月後半にも「マルコ」と「ローラ」と言うという2つの大型ハリケーンが上陸。
この時もWTI原油先物が45ドル近くまで上昇することもあった。しかし、9月に入ると再び40ドル台を割った。
2010年の英BPの大規模爆発事故による原油の大量流出の反省から、油田の安全基準が大幅に強化され、最近では少しの暴風でも施設を閉じ、職員を避難させる措置が取られるようになっている。
マーケットの反応として、ハリケーンには耐性が出来ており、原油先物価格の変動も一時的なものにとどまる可能性が高い。
ハリケーンのような自然災害よりも、大統領選で米国の経済対策が頓挫していることや、サウジやロシアなどの産油国の協調減産が暗礁に乗り上げることの方が、原油価格上昇や下落の要因になるだろう。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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