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富士フイルム、10月にも「アビガン」を承認申請へ 新型コロナ治療薬
富士フイルムは23日、10月中にも抗インフルエンザウイルス薬「アビガン錠」(以下、アビガン)を、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬として承認申請する考えであることを発表した。グループ傘下の富士フイルム富山化学が臨床試験により治療効果を確認した。新たな安全上の懸念も認められなかったとしている。
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発表によると、国内臨床第III相試験において、新型コロナウイルス感染症に対する「アビガン」の治療薬としての有効性が確認された。評価されたのは、症状の軽快やウイルスの陰性化にかかる時間。156例を対象として解析を行ったところ、アビガンが投与されたグループは11.9日、治療効果のない偽薬であるプラセボが投与されたグループは14.7日と、症状の改善にかかる日数に有意な差が見られた。
「アビガン」はすでに抗インフルエンザウイルス薬として国内で承認されており、日本政府による備蓄も行われている。臨床試験の結果を受けて、新型コロナウイルス感染症の治療薬としても承認されることを目指し、来月中にも製造販売承認事項第一部変更承認申請が行われる予定だ。
承認されれば、国内の製薬会社が開発した初の新型コロナウイルス感染症治療薬となる。なお、現在使用が認められているものは、米国の医薬メーカーギリアド・サイエンシズによるレムデジビルと、英オックスフォード大学などにより有効性が確認されたデキサメタゾン。
新型コロナウイルスはインフルエンザウイルスと同じRNAウイルスであることから、感染症の拡大当初から「アビガン」の有効性を期待する声は大きかった。安倍前首相も会見で治療薬の候補として名前を挙げていたほか、外国への提供も行われている。軽症・中等症患者を対象として3月31日から国内で企業治験が行われていたが、統計的に有意な有効性は示されなかったとの報告もあり、一時は関心が下火となっていた。
今回の発表を受けて富士フイルムの株価は続伸。一時5,296円の高値を付けた。(記事:万嶋せら・記事一覧を見る)
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