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金星の雲の中に生命の兆候を発見か 英カーディフ大学ら
金星(画像:カーディフ大学報道発表資料より)[写真拡大]
イギリスのカーディフ大学、ケンブリッジ大学、アメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)等からなる国際研究グループは14日、金星の雲の中に生命の兆候となりうる化学物資「ホスフィン」が存在することを確認したと発表した。
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NASAもこの発見に対し、同日付で「(我々はこの研究には関与しておらず、直接この発見についてコメントすることはできないが)論文の公開後に巻き起こるであろう喧々諤々の議論を楽しみにしている」とコメントを発表した。
なお研究論文は14日付で、「Nature Astronomy」に掲載された。
■ホスフィンとは?
ホスフィンは水素とリンからなる単純な無機化合物だ。地球上では産業的につくられる他は、微生物によってつくられるだけだ。
研究グループは、このホスフィンが金星の雲の中に存在することを、ハワイのジェームズ・クラーク・マクスウェル望遠鏡による観測で発見。その後、さらにチリのアルマ望遠鏡による観測によって確認した。
金星は現在でこそ、その表面温度は460度にも達し、厚い硫酸の雲に覆われた地獄のような惑星だが、30億年ほど前までは、地表の温度は地球よりもやや低く、浅い海もあったと考えられている。
そのような環境であれば、かつて生命が誕生し、その後も環境に適応、現在まで生き残っている可能性もないとは言い切れない。
実際、地球上でも、太陽の光も届かない暗黒の深海の底で400度にも達する熱水を噴き出す熱水噴出孔の周りに、微生物はおろか、エビ、カニ、小魚まで含まれる豊かな生態系が形成されていることが知られている。
■自然の産物である可能性はないのか?
とはいえ、ホスフィンが自然現象によって発生した可能性もある。そこでMITのWilliam Bains博士は、太陽光、火山、雷、表面からの鉱物の吹き上げ等、ホスフィンが発生しうるさまざまな自然現象について検証した。
すると、それらの自然現象のいずれについても、発生するホスフィンの量は観測されたホスフィンの量の1万分の1程度であり、十分な量のホスフィンを発生させることはできないことが解った。
ただ研究グループによれば、金星に生命が存在すると断定するには、まだ多くの課題が残されているという。例えば、金星の雲の中の温度は30度程度だが、非常に酸性度が高く、そのような環境下でどのようにして微生物が身を守り生存しているのか解明する必要がある。
研究グループでは今後、さらに望遠鏡による観測を続け、ホスフィンが雲の中の比較的温暖な部分に存在するかどうか、また、生命に関係する他のガスが存在するかどうか等について詳しく研究を進めていく予定だ。
これまで地球外生命の探査は火星を中心におこなわれてきた。しかし、ここにきて金星というダークホースが現れた。これからの研究の進展に注目したい。(記事:飯銅重幸・記事一覧を見る)
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