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「優越的地位の乱用」巡り、公取委がコンビニ各社のFC本部に報告を「要請」
19年2月に、東大阪市のセブンイレブン南上小阪店を経営するオーナーの松本実敏さんが、「24時間はもう限界」と声を上げて俄かに注目を集めていたコンビニの営業時間問題に、公正取引委員会がようやく重い腰を上げた。
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公正取引委員会は2日、コンビニの本部が、加盟店に対する優越的地位の乱用を牽制する指針を打ち出した。
公正取引委員会は、セブンイレブン南上小阪店問題を契機として、19年10月からコンビニのFC本部8社と約1万2千店の加盟店に対して、実態調査を続けてきた。当時コンビニの本部が「オーナーの希望を尊重する」「コンビニ本部とオーナーは経営者として対等だ」というコメントを公表していたため、いよいよオーナーの希望が叶えられつつあるのかと受け止めていた人は多いだろう。
今回調査対象となった約1万2千店の加盟店のうち66.8%が、「時短営業」か「どんな状況になるか実験で確かめたい」と希望していたようだ。単純計算で約8千店が何らかの形で時短営業を希望していたことになる。
ところがセブンイレブン、ローソンとファミリーマートの大手3社の加盟店約5万2千店のうち、時短営業に切り替えた加盟店は現在3%程度、店舗数で約1千500店に止まった。
今回の調査対象約1万2千店の時短営業希望割合66.8%を、単純に大手3社の加盟店約5万2千店に乗じてみると、3万4千店を超える加盟店が時短営業を希望していると推定することが出来る。それに対して、時短営業に切り替えが出来た店舗約1千500店は、時短営業を希望した店舗の僅か5%に過ぎない計算だ。
限定された調査対象店舗と、大手3社の加盟店という母数の違いがあり、一概に比較が出来ないことはもちろんであるが、24時間営業から離脱できた店舗が随分少なかったことは一目瞭然だ。
さっぱり改善が進まない実態に公正取引委員会が業を煮やしたのは当然のことだろう。
コンビニの本部が金科玉条の如く口にするのが「コンビニ本部とオーナーは経営者として対等だ」という言葉だが、その言葉通りに受け止める加盟店のオーナーは存在しない筈だ。もし対等なら、24時間営業で利益を上げられない加盟店は時短営業にするという、当然すぎる経済原則が選択されない理由が説明できない。
仮に経営者として対等なら、店舗の販売能力を超える仕入れを強要されて、売れ残りの割引販売も許されず、廃棄処分はオーナー負担という過酷な実態が継続される訳がない。
開店後の甘い収支計画を見せられ、FC本部のち密な経営指導を期待して重い借金を背負った加盟店のオーナーには、契約期間という縛りがある。本部への直言を煙たがられて、契約更新が出来ずに経営から退いたオーナーの話を聞かされて、それでも本部に思いの丈を伝えることは決死の覚悟がなくては出来ない。コンビニ本部とオーナーのわだかまりが、当事者同士では一向に進展しなかった理由がそこにある。
公正取引委員会は02年に、FC分野の独占禁止法に係わる運用指針を提示して、値引き販売の制限や仕入れの強制は優越的地位の乱用に当たる恐れがあるとの解釈を示していたが、現在も適正に運用されていないと判断したようだ。
コンビニ本部にとって不都合な今回の方針は、自らが招いた自業自得だ。
公正取引委員会は、自主的に社内の問題点を洗い出して、その結果と改善施策を11月末を期限として、報告するように大手8社に対して「要請」した。
今まで本部に直言できなかった多くの加盟店オーナーは、コンビニ本部がどんな報告を仕上げるのかを指折り数えて待つことになるのだろう。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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