マツダ・水素ロータリーエンジン EVによる自動車産業の雇用喪失を防げるか? (3)

2020年8月24日 08:36

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 またe-gas(メタンガス)利用であれば、水素スタンドと言っても、すでに公開しているがトヨタが特許を持つFCVで使う純粋水素とは違い、従来のガソリンスタンドを改装するだけで引き続き利用できるメリットもある。

【前回は】マツダ・水素ロータリーエンジン EVによる自動車産業の雇用喪失を防げるか? (2)

 1台当たり部品点数3万点と言われるクルマを製造する自動車産業の規模をそのまま維持できるだけでなく、ガソリンスタンドもそのままに近い形で使えるメリットは大きい。これまでの自動車関連産業の雇用を確保できる可能性は、人間社会の基本的な機能である「雇用」という絶対的有用性がある。

 さらに、再生可能エネルギーで水を電気分解して水素を作り出せるとすると、エネルギー問題も解決する。二酸化炭素(CO2)の吸収と排出を同じにするカーボンニュートラル(炭素中立)を実現して、地球温暖化を阻止する方策も見えてくる。

 水素エンジンの技術的問題は、現在のところ大きく見ると2つある。「バックファイア」と「熱損失の多さ」だ。この2つの問題点について、マツダ・ロータリーエンジンはその構造組成から有利になっている。燃焼室が移動しながら爆発を迎えるため、圧縮の際の熱上昇を多少遅らせることが出来るので、バックファイアが起きにくい。また、気筒内直接噴射と点火プラグでの点火によって、気筒内壁への炎の到着を少なくすることで熱損失も抑えることが出来る。

 ロータリーエンジンはガソリンエンジンとしてはシールドの問題で燃費が悪く、消滅しかかっていた。しかし、こうした水素燃焼では燃費の悪さが生じることはなく、技術的デメリットはなくなり利点と考えられるようになった。ガソリンとの併用が効くことで、水素スタンドが広く整備される前に実用になることが考えられる。

 こうなると、日本の雇用を守り、エンジンやミッションなどの精密機械技術で世界をリードするメリットも保持できることになる。これは一大チャンスが巡ってきたと言えるのであろう。すぐに、欧州各国に合わせて日本政府も水素社会を構築する施策を打ち出すべきと言える。『雇用を生み出すチャンスを逃がすな』である。日本政府に、もたつきがないことを祈りたい。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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