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首都圏のマンション需要を見据えたツクルバの戦略
カウカモが5月にスタートさせたリノベーションが簡単にできる新サービス「SELEC」(画像: ツクルバの発表資料より)[写真拡大]
昨年7月に東証Mに上場したツクルバは2011年8月、現CEOの村上浩輝氏と共同創業者の手で設立された。村上氏は大学を卒業後にコスモスイニシア、現LIFULLを経ている。住宅紹介サイトの存在を学んだ。
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両社の場合もそうであるように、大方の住宅紹介サイトは「新築/中古」「賃貸/購入」などの情報が一括で掲載されていた。付記される物件情報も定量的(価格・築年数・間取り)。そうした状態に着眼し村上氏が立ち上げたのが『カウカモ』。同氏の言葉を借りれば「厳選した中古・リノベーション住宅専用」の流通プラットフォーム。
特徴として物件の定量的情報だけでなく、定性的情報(説明文)が掲載されている。例えば最寄り駅や近隣のカフェ、建物の外観・共有部・内装イメージの写真が実際に物件を取材したライターの紹介文(3500文字程度)とともに発信されている。
サイトの閲覧や会員登録は無料。試してみた。「条件指定」「こだわり」「エリア」から検索する画面が現れた。私は「こだわりで検索」をクリック。「猫も家族」という欄をクリック。41件の飼育可能な中古マンションを閲覧することができた。
閲覧は無料だが、ビジネスモデルは堅固。閲覧者に物件売買を仲介した場合は、買い手・売り手の双方から手数料を取る。
目下の買い手は30歳~40歳代の独身・共稼ぎ夫婦・スモールファミリーが主体。都心や人気住宅地の中古マンションを中心に、常時900件以上の物件が掲載されているが平均購入価格は4500万円程度。アナリストからはこんな声が聞かれる。
「ツクルバは750社を超える住宅再販業者の扱う物件を掲載しているが、売買の平均価格帯からして郊外なら新築物件の水準。だが是非論は別にして『人気エリアで夫婦共働きをし、豊かな(老後)生活に備え楽しみたい』というDINKSが増えているのは事実。その当たりにフォーカスしているのが強み。住宅再販業者は他のサイトにも物件を掲載しているが、新築・築浅の物件の前に効率が良くないが現状。カウカモに魅力を感じざるをえない。時代に沿ったビジネスモデルといえる」。
ツクルバはこんな現状・展望を明らかにしている。「首都圏の18年の中古住宅市場規模は5年前に比べ1.3倍の約1兆6000億円。そのうちリノベーション住宅の潜在市場規模は約5000億円。25年には8000億円まで成長する」。
今7月期の中間期時点では、会員数が前年同期比77%増(約14万人)。月1回以上サイトを訪れるアクティブユーザーは48%増(約4万人)。コロナウイルス禍でマンション市場の低迷が指摘される中、注目したい企業といえる。
ちなみに先のアナリストは「リーマンショック時の首都圏の07-08年の中古マンションの成約数は、ショック前に比べ微減にとどまりその後緩やかな上昇に転じている」ともした。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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