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『クルマは造り方を売っているII』 (4) 自動車メーカーの終焉?
■自動車メーカーの終焉?
『EVになれば部品は半減するため、パソコンのようにメガサプライヤーから買って来れば誰でも作れるようになる』と言われている。家電製品はいずれも「屋台(セル生産方式)」となり、ラインではなく1人の作業員が「組み立て工程の初めから完成」まで行うことが標準となってきた。
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これにより、生産の流れが横のラインではなく縦の流れとなり、工程間のムダがなくなり、作業工数の削減、生産リードタイム激減、工程結合による仕掛在庫の激減、生産能力の弾力的運用など、資金効率としては計り知れないメリットを生んでいる。
だが「サプライヤーから部品を買って来れば誰でも組み立てられる」とするのは、自動車、建設・産業車両に限っては誤解だ。確かに、EVになれば部品点数が減る。特に、エンジン、ミッションなど高精度の技術を要する部品がなくなる。
その意味では、昔から建設車両、産業車両などはエンジンを自動車メーカーなどから購入してきており、部品もかなり限られた数であって、建設車両メーカーは組み立てしかしていないと言える。しかし、独自のメーカーとしての立場を長年争ってきている。これは、「重量物生産」「多種少量生産」のノウハウが重く、簡単に誰でも生産できる仕事とは言えないからだろう。
自動車生産においても、「部品はメガサプライヤーから購入、組み立てだけ」となっても、プラットフォーム、ボディ、シャーシなど安全性・軽量化技術を含め、激しく競い合っている。パソコンのように簡単ではない。重要保安部品であり、安全性・軽量化はいつまでも続く課題だからだ。
さらに、BMWが進めているように、100を超えるオプション部品を自由に組み合わせて生産する、AIを使った工程管理を出来るメーカーは限られてくるのであろう。基礎となる「混流生産」の技術が必要だからだ。
「トヨタかんばん方式(欧米名:リーン生産方式)」が世界に広まるのに半世紀余りかかった。第4次産業革命(インダストリー4.0)が、AIの助けを借りて本格的に広まるのには、どれくらいの年月が必要なのであろうか?前提に「トヨタかんばん方式」の基礎があるとして、加速度的に早まるとしても20年はかかるのであろう。
AIによる自律型ロボットを使った「生産工程管理」が軌道に乗るのは10年と見て、その頃、自動車メーカーの生き残りが決まるのであろう。特徴ある車種を造るホンダの生きる道は、この方向であると言える。だが、金融知識の経営者が、このBMWなどが進めるマスカスタマイゼーションの方向性が生き残る道であることを見つけることは、難しいのであろうか。
続きは:『クルマは造り方を売っているII』(5) 【日本のトヨタ下請け制度優勢】(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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