関連記事
究極のクリーンカーその2 水素エンジン車
RENESIS水素ロータリーエンジン~水素内燃機関はレシプロよりREが有利だ(画像: マツダの発表資料より)[写真拡大]
●究極のクリーンカー
本当に地球環境に優しい、究極のクリーンカーは「燃料電池車」と「水素エンジン車」しか存在しない。EV車は決してクリーンカーでは無い。
【こちらも】究極のクリーンカーその1 燃料電池車
近年EV車に注目が集まっている原因は、内燃機関技術の圧倒的な企業間格差がある。内燃機関が自動車の主流を行く限り、中国のレベルでは格差は大きくなるばかりだ。
燃焼理論を始めとする内燃機関の、長年蓄積された知識、経験、ノウハウがものをいう土俵では戦えないし、広い裾野が不可欠な部品工業の構築は難しい。そこで、「電動モーター」と「バッテリー」さえあれば新しい土俵で戦えると考えて、中国が熱心に推奨したのが原因だ。
しかし、「電気自動車」をなめてかかってはいけない。適当なモーターを持ってきて、どこかの携帯電話みたいに発火しない車載電池を搭載すればOKでは無い。
世界に名だたる某超高性能モーターは、世界でも極めて少数の高い技術レベルを持ったインバーターメーカー製品でしか回せない。4回転ジャンプの成功率が8割を超えるスケーターに、2回転の成功率が1割未満のスケーターが勝てる場面は無い。
車載電池は勿論、モーター、インバーターの世界にも厳然たる技術の壁は存在するからだ。
●「燃料電池車」と「水素エンジン車」こそが環境に優しい車だ
前回は、燃料電池車(FCV)について述べた。今回は「水素エンジン車」について見てみたい。
「水素エンジン車」の場合は、ガソリン車と同様、燃料である「水素:H」を燃やす内燃機関だ。
ガソリンを燃料とする車の場合は「二酸化炭素:CO2」と「炭化水素:HC」、「水:H2O」が排出されるが、水素を燃料とする車は、「水:H2O」以外は排出しない。
●水素エンジンの問題点
1997年12月、国立京都国際会議会館で開催された、「第3回気候変動枠組条約締約国会議(地球温暖化防止京都会議 COP3)」にはBMWが水素エンジン車を展示していた。
その後、BMWは内燃機関としての「水素エンジン」は棚上げしたと側聞する。この原因は多分、早期着火(バックファイア)回避が困難であったことも大きな要因ではないかと推測している。
レシプロエンジンは吸気、圧縮、膨張(燃焼)、排気をシリンダー内の同じ場所で行う。そこで当然、燃焼時の熱でシリンダーヘッド部分が高温となり、新たに吸入した燃料(水素)は吸気行程で早期着火し易い。
また、水素を噴射するインジェクターは、シール部にラバーを用いるにも拘わらず、シリンダーヘッドが高温になるため、取付け位置と遮熱に苦労する。
●水素ロータリーエンジン車に期待する
ロータリーエンジンは三角形の、おにぎり形状のローターが、繭型のハウジング内を遊星運動して回るエンジンで、吸気ポートから入った燃料(水素)はプラグが設けられた燃焼室へ移動する。
そこでプラグで着火した燃料は、排気ポートへ送られるため、吸入した燃料が排気と接触しないので早期着火(バックファイア)が起こり難い。
マツダRENESIS水素ロータリーエンジンの場合は、電子制御ガスインジェクター方式直噴を採用している。この方式は、ガソリンを燃料とする場合のロータリーの吸気ポートから空気を吸入して、ローターハウジングの頂上に設けた電子制御ガスインジェクターにおいて、水素を吸気室内に直接噴射する。
この様に、ロータリーエンジンは水素エンジンには最適な構造をしている。
●待ち遠しい水素社会の到来
「水素」は「太陽光発電」で得た「電気」で「水」を「電気分解」すれば無限に取り出せる。石油資源を持たない我が国には有難い。
将来的には、水素インフラが整備され、「燃料電池車(FCV)」とともに「水素ロータリーエンジン車」が普及することを大いに期待したい。(記事:沢ハジメ・記事一覧を見る)
スポンサードリンク