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改めてコロナウイルス禍と濃厚接触者対応を考える
訪問介護を中心に広範な事業を展開する介護業界の老舗の1社に、やさしい手がある。これから記すことは、やさしい手が運営する「ショートステイ」で起こった、実話である。
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ショートステイは、介護をする家人が「冠婚葬祭等で数日間家を空けざるをえない」場合や、家人が「体調を崩したので休養を取りたい」時などに、被介護者用として利用されるケースが多い。
やさしい手に、X氏なる人物が入居したのは4月のこと。「何故入居したのか」は明らかにされていないが、施設側は通常通りに対応していた。ことが激変したのは、入居後3日目。家人:Y氏が住むエリアの保健所からの連絡だった。
「Y氏のPCR検査で陽性反応が出た」という内容だった。つまりX氏は「コロナウイルス感染者の濃厚接触者」となる。だが保健所からは「X氏を受け入れる医療機関が現時点で見つかっていない。引き続き探す努力は続けるが・・・」と伝えられた。施設側は、どんな対応策を執ったのか。保健所の指示を受けながらこんな策を打った。
*予定利用者に濃厚接触者が出たことを連絡し、利用の自粛を促した。
*同じフロア内で他の利用者との接触が起きないように、X氏の居室をフロア移動。利用していた居室・フロアを清掃・消毒しクローズ。
*利用中の他の入居者の居室も移動。保健所の感染予防指導策に基づき、健康観察等を実施。
*X氏と職員の接触を減らすため、シフトに沿って担当者を固定した。また職員間で情報を共有するため担当職員は経過観察をこまめに行った。
*並行し、Y氏以外の非同居家族:Z氏に連絡をとりX氏の受け入れを提案。保健所にもその旨を伝え、Z氏にX氏の支援を助言してもらった。
Z氏はX氏の受け入れを承諾し、X氏は施設を退去した。
幸いX氏はその後もそれらしき症状が認められず、保健所の検査で「陰性」と判断された。Y氏の陽性発覚から2週間を待ち、施設はクローズしたフロアを再開した。
この記事を書く直前ネットニュースは、「日本のPCR検査の慎重性に海外から疑義の声」という記事と同時に、国内の感染症専門医師からの「反論」が配信された。また殆ど時を移さずして米国のトランプ大統領がホワイトハウスの側近スタッフの感染を受け「(これまでは週1回だった検査を)これからは毎日やる」と発言したと伝えられた。
やさしい手での出来事は、決して他人事ではない。週1回は最低でも「ガラガラの電車」を乗り継ぎ「人手もまばらな」道を歩き、所沢市から東京・銀座に仕事に出かけている。万が一、私が感染した時に長らくの同居人への対応は誰がどうしてくれるのか。愛猫の手を借りるわけにもいかない。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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