着実に根付くドローンの存在感

2020年5月27日 17:58

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ドローンによる外壁調査のイメージ。(画像: スカイエステートの発表資料より)

ドローンによる外壁調査のイメージ。(画像: スカイエステートの発表資料より)[写真拡大]

 昨年9月「改正航空法(通称:ドローン規制法)」が施行された。従来の「重要施設、人口密集地の飛行禁止」に加え「飲酒運転(アルコールや薬物等の影響下での飛行)禁止」など「常識の範囲内の改正」ではあったが、裏返すと(産業用)ドローンの活用の広がりぶりを示している。

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 ドローンパイロットの養成スクール「ドローンスクールジャパン東京中目黒校」の運営で知られるスカイエステートの、新たな事業展開にもそれは見て取れる。不動産分野に進出し、ドローンによる外壁調査を主とした不動産管理事業も手掛けているのである。

 同校が輩出したドローンパイロットは2000名余り。外壁調査に乗り出したのは2017年後半。日々増加する依頼が背景だった。青木達也社長は「うちにはパイロットインストラクターのほか、赤外線建物診断技能士(街と暮らし環境再生機構による民間資格)も存在している。この二つの資格を有している者なら精度の高い調査が可能」と自信を示している。

 かつコスト面からも有利なのが特長。従来、我々がよく見かけた外壁調査は「ゴンドラorロープ+人間」。ゴンドラ+人間に比べドローンによる費用は半額以下。40階建てのタワーマンションを人手で調査する場合1000万円以上かかるが、ドローンなら数百万円で済む。

 青木氏は「今後は宅配便など物流業界の需要が予想されるが、時間的には一般的になるのはまだ先。当面は外壁調査に注力していく。それが当たり前になるくらいまで」としている。

 ドローンによる外壁調査のニーズの高まりは、こんな動向にも顕著だ。広範な不動産関連事業を手掛ける上場企業に、サンフロンティア不動産がある。ちなみに19年3月期「12.3%増収、18.4%営業増益」⇒20年3月期も期中に上方修正し「37.4%増収、24.6%営業増益」で着地。アナリストの予想株価(IFIS目標平均株価)も1900円と、年初来高値1364円より500円以上上値にある。

 そんなサンフロンティア不動産がスカイエステートの株式の一部を取得し、資本業務提携したのは昨年11月。「自社関連の物件の外壁調査が目的の提携」だったが「いざ始めてみると、同業他社からのオファーが想定以上」と嬉しい誤算を口にし、「ドローンと不動産の親和性の高さに改めて気づいた」としている。

 ドローンは単に「ブーム」でなく、存在感を着実に根付かせている。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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