なぜ?NAエンジンで登場 ポルシェ・718ボクスターGTS4.0&718・ケイマンGTS4.0(2)

2020年5月25日 07:29

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718 ケイマン GT4/718 スパイダーの4リッター6気筒自然吸気ボクサーエンジン。(画像: ポルシェジャパンの発表資料より)

718 ケイマン GT4/718 スパイダーの4リッター6気筒自然吸気ボクサーエンジン。(画像: ポルシェジャパンの発表資料より)[写真拡大]

 戦後10年ほど経つと、日本の自動車産業も始まり、ターボチャージャーの性能も徐々に高くなってきた。確か日産・ブルーバードであったはずだが、自動車にターボチャージャーを搭載する実験が始まった。一方、トヨタは「DOHCで対抗する」として、市販車での排気タービン装着には初め熱心ではなかった。

【前回は】なぜ?NAエンジンで登場 ポルシェ・718ボクスターGTS4.0&718・ケイマンGTS4.0 (1)

 それからだいぶ時は廻って、「ダウンサイジングターボ」は燃費向上が目的でVWから採用が広がり、今ではターボラグもなくなり使いやすいエンジンとなって定着したかに見えている。しかし、今そこに、ポルシェが再び大排気量NAエンジン開発を進めてきたのだ。その背景は何なのか?

 現在の排気ガス、燃費規制の測定は、「モード測定」で行われている。運転パターンが決められており、そのパターンに沿って運転して、その測定した結果で判定するものだ。そのためメーカーは、「モード」に沿った運転状況に合わせて燃費をよくする設計製作をするため、モードが変われば開発する技術も違ってくる。条件の差で必要な技術も違ってくるようになっているのだ。

 ターボエンジンは高速での巡行時などの燃費は良いが、加減速を繰り返すと燃費が悪くなるようだ。そのため検査モード変更のたびに開発する技術が違ってくるのが当然となっている。実走行で測定できれば良いのだが、一定の条件下で実走行することが難しく、ダイナモ上でのパターン運転となってしまう。

 ポルシェが再びNAエンジンを出したのは、どうやらWLTCモードの導入がきっかけになっているようだ。大排気量NAでも燃費が良ければ良いのだ。ポルシェはNAエンジンの方が有利と考えたのであろう。

 ポルシェ・911 GT3の9A1系4リッター500PS/8250rpm・レブリミット9000rpmに対して、718スパイダー&ケイマンGT4の9A2系420PS/7600rpm・レブリミットは8000rpmだ。これは、かなりの高回転型エンジンでNAの特徴を表している。

 操縦が難しいようだが、最近ではDCTの自動チェンジに任せて運転すれば、MTでどれほど人間が頑張って運転しても追いつけないようだ。NAでもターボチャージャーでも、アクセルとブレーキを操作していれば良いようだ。ポルシェ・718ボクスター/ケイマンGTSのNA新エンジンはかなりのふけの良いエンジンのようで、ポルシェもEVに乗り出している状況下ではあるが、一方ではガソリンエンジンの究極の形を求めているのであろう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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