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北大ら、どこでも20分以内に抗体検査可能な装置開発 新型コロナへの応用にも期待
今回開発されたポータブル蛍光偏光測定装置(画像: 東北大学の発表資料より)[写真拡大]
北海道大学、東北大学、TianmaJapan等は20日、抗体検査をその場で20分以内に完了できるポータブル蛍光偏光測定装置を開発したと発表した。この装置はさまざまなウイルス等に応用可能で、研究グループでは今後新型コロナウイルスの抗体検査への応用にも期待している。
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■抗体検査とは?
新型コロナウイルスに関する検査として最もよく耳にするのは、PCR検査だろう。PCR検査では新型コロナウイルスの遺伝子を直接検出する。
これに対して抗体検査では、新型コロナウイルスに対抗するために私達の体がつくりだした抗体を検出する。対抗した痕跡があるため、過去に感染したことが解るという仕組みだ。抗体は治癒した後も長期間体内に残るため、抗体検査によって過去に感染したかどうかが解る。
そこで現在、新型コロナウイルスに実際に感染した人がどれくらいいるか調べるために、世界中で盛んに抗体検査が行われている。例えば厚生労働省は15日、東京都で行った抗体検査について500検体で陽性率0.6%だったと発表した。
単純に計算すれば、東京都だけでもすでに8万4000人が感染したことになる。
実際にどれくらいの人が感染したか把握することは、出口戦略も含めて新型コロナ対策をたてる上で欠かせない。
今回の研究グループの研究成果は、このような新型コロナの抗体検査において有力な手段となりうるものである。
■高精度で、簡便、迅速、多量に抗体検査可能
抗体はウイルス等の持つ特定のタンパク質に結合する。研究グループは、まず、この特定のタンパク質を合成し、蛍光分子を組み込んだ試薬を作成。
ところでこの試薬は、実際に抗体が結合すると分子運動が小さくなり、蛍光の仕方が変化する。そのため、その蛍光の仕方の変化をとらえることで、抗体の有無が判定できる。これを蛍光偏光免疫分析法という。
この方法によれば、かかる手間は試薬と血清を混ぜ合わせるだけのため、簡便、迅速に抗体検査ができることになる。
研究グループは、液晶素子、イメージセンサー、マイクロ流路チップからなる独自の機構を組み込むことで、この方法による装置を小型化し、高精度で簡便、迅速にして、小型、ポータブルな蛍光偏光測定装置の開発に成功した。その重量はわずか5.5kgだ。
さらにこの装置では、マイクロ流体デバイスを工夫することで、ごく少量のサンプルで複数検体の同時測定も可能になった。
研究グループによれば、この装置によって、鳥インフルエンザについて、わずか2μL の血清量で 20 分以内に抗体を検出することができたという。
研究グループでは、今後、新型コロナウイルス等さまざまなウイルス等についてこの装置の応用展開を図っていきたいと考えている。(記事:飯銅重幸・記事一覧を見る)
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