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中国・三一重工、キャタピラーとコマツに「アフターコロナ」で挑む(1/4) 中国の量産技術
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中国が、「アフターコロナ」で既に攻勢をかけている。政府による手厚い支援策が秘密裏に行われているのかもしれない。「世界の工場」から脱して、さらなる産業育成を図っていくのだ。
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中国自動車市場での「EVシフト」においても、自国企業の「自動車産業」を育成する目的で政府が支援金を出してきた。対等合弁でなければ中国に生産工場を置くことを国外のメーカーに許可してこなかったのは、中国が「技術を身に付ける」ためだ。アメリカのトランプ大統領でなくとも「ずるい」と言いたくなる政策だ。
中国企業については国策で育成される要素が強いが、日本においても、建設車両などは公共事業による政治的配慮が多く見られるのはよく知られていることだ。中国の公共事業でこの傾向はより明確であり、三一重工など自国メーカーが優遇されることは、当然であると言わなければならない。
■中国の量産技術のレベル
半世紀ほど昔、筆者がある建設車両メーカーの系列企業を経営していたころのことだ。中国への売込みに成功して、当時としては大量の受注を得たときだった。中国側が、受注した親会社に対して、外注したメーカーの工場を見たいと言った。そして、主たる部品をサブアッセンブリまで行っていた筆者の工場に、中国使節団がやってきたのだった。
通常、こうした発注側の工場視察では「品質監査」の目的が多いのだ。しかし、中国使節団がやってきてみると、彼らはとても「品質保証」体制の査定など出来るようなレベルではなかった。製造工程での「治具」などの概念も稚拙なもので、製造業を始められるレベルではなかった。まだ「多種少量生産」などの概念が当時のコマツにもなく、「トヨタのかんばん方式」が「かんばん」と言うトヨタ社内の「暗号」であったことが知られ始めていたころだ。
当時、中国では、単純な穴あけ作業でも手持ちの電動ドリルで行っているような危険なレベルだった。そんなレベルから「品質保証体制」を整えるのに「半世紀」が過ぎた現在だが、平均すれば中国国内の工場では心許ないレベルだ。
中国は、コンピュータソフト面では既に「アメリカに追いつき、追い越す勢い」と言われるが、それはソフト産業の「品質保証レベル」が、「製造業」のそれに追いついていないことが知れる証でもある。つまり、ソフトの「製造」は、開発段階の「バグつぶし」を除けば「コピー」だけであり、問題が起きることすら想定できないほどの少ない工程しかないからだ。
EV自動車のテスラが「モデル3」の量産体制に手間取ったことで分かる通り、自動車製造は難しく、ソフト産業のほうが参入しやすく「量産」しやすいのだ。むしろ、「量産」のステップがないと言っても良いほど簡素化できるのだ。そのため、中国もソフト開発では世界のトップランナーと言えるレベルになっている。
しかし量産技術では、「品質保証」を含めて中国は現在、ソフトの「バグつぶし」のレベルを含めてどれほどのレベルに達しているのか疑問だ。また、自動車産業と建設車両産業との違いはどこにあるのだろうか?(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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