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米ミズーリ州、コロナの世界的拡大で中国を提訴 米国の州としては初めて
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な流行が続く中、アメリカのミズーリ州は21日、中国政府や中国共産党などを相手に感染拡大の責任を問う訴訟を起こした。新型コロナウイルスは中国の武漢市で初めに発生したとみられているが、中国指導部による初期の対応に誤りがあったために世界に感染が拡大したと指摘。ミズーリ州は、州内の多くの住民の命が危険にさらされ、また、深刻な経済的影響を受けたと主張している。
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ミズーリ州はアメリカ中西部にある内陸の州で、21日午後(現地時間)の州政府の発表では、新型コロナウイルス感染症の患者数は計5,941人、死者数は計189人とされている。早くから緊急事態宣言を出していたニューヨーク州やカリフォルニア州などと比べ、確認された感染者数は少ないものの、多くの住民が不安のある生活を続けている。観光業が主な産業の1つである同州では、感染拡大による経済的な打撃も大きい。
現地時間21日朝に訴状を提出したシュミット州司法長官は、「中国は新型コロナウイルス感染症の危険性と感染力の高さを正確に伝えなかったばかりか、内部告発者の口封じも行い、感染拡大を抑えるための適切な対策を取らなかった。この初動の誤りについて責任を負う必要がある」と主張している。また、中国指導部が正月や春節などの休暇中における人の移動を規制しなかったことで、感染のリスクが世界中に拡大したと指摘。証拠があるにも関わらず人から人への感染の可能性を否定したことも、ウイルスの世界的な拡散を助長したとしている。
訴訟大国と言われるアメリカでは物事を裁判で解決しようとする傾向が強く、日本などと比べて多くの訴訟が行われている。今回の件でもすでに複数の企業や個人が中国に対する同様の提訴を起こしているが、州による提訴は初めてとなる。ただ、アメリカの法律では他国に対する提訴が原則として認められておらず、実効性のある裁判にはならないとみられる。
アメリカ国内には、新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大した責任を中国やWHOに問う声が大きい。トランプ大統領はすでに、WHOの中国寄りの対応が感染拡大を招いたとして、WHOへの活動資金の拠出を一時停止すると発表している。
パンデミックの終息が見通せない中でいっそうの国際協調が求められるが、アメリカによる中国批判や中国による「マスク外交」など、外交上の摩擦を生む状況や、外交の道具として利用する動きは絶えない。責任追及の政治的な争いも続く中、ミズーリ州による提訴が中国からの反発を招くのは必至とみられる。(記事:万嶋せら・記事一覧を見る)
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