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原油価格マイナス その背景と今後の行方は?
●原油先物市場が初のマイナス価格に
4月20日のNY原油先物価格で、取引時間中の最安値が1バレル=マイナス40.32ドルとなり、終値でもマイナス37.63ドルと、原油先物市場の歴史で初めてのマイナス価格が実現した。
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通常であれば、買い手が売り手に対してお金を払うことで原油を買うことになるが、マイナス原油価格ということは、売り手が買い手に対してお金を支払って引き取ってもらうということを意味する。
●なぜこうなったのか?
そもそも原油は、新型コロナウイルスの感染が拡大する前から供給過多となっていた。そこに世界的なパンデミックにより、飛行機が飛ばなくなり、人の移動が制限され、さらに需要が冷え込んだ。
米国内ではすでに、原油在庫が貯蔵能力の限界に達するという懸念があった。需要減と供給過多による圧力が強まりすぎたことで、原油価格がマイナスとなった。
マイナス価格と聞くとこれから原油に価値が無くなるのかと思ってしまうが、実際は違う。
先物価格には、売買最終日というものがあり、その日に買いポジションを持っていれば原油を引き取らなければならなくなる。今回のNY原油先物5月限は、マイナス価格がついた翌日の4月21日が売買最終日だった。
この状況下で、どの国も、また石油会社も、原油在庫を相当抱えており、備蓄できる場所が無くなり、売買最終日前に投げ売りされたということが考えられる。
●これからもマイナス価格になるのか?
売買最終日が1カ月先まである6月限はマイナス価格とはなっていない(4月22日現在)。「逆オイルショック」などとも言われているが、原油が今後、お金を払って引き取ってもらわないといけない産業廃棄物になってしまうのかと言うと、そんなことはない。
今回はお金を払ってでも在庫処分しないといけない状況だっただけであるが、今後も新型コロナウイルスの感染拡大が長引いたりすると、再び過剰在庫が起こって原油の先物価格がマイナスとなることもあり得る。
しかし、今回は3月6日のOPEC会合での減産交渉が決裂し、サウジアラビアが増産したことも影響していると言われている。再びマイナスになるとすれば、その原因はさらなる需要低迷が続くことと、OPECとロシアとの減産合意の行方によることになりそうだ。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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