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大きさと温度が地球に酷似の太陽系外惑星 埋もれたデータから発見 NASA
地球(左)と、環境が良く似た太陽系外惑星Kepler-1649cのイメージ。(c) NASA/Ames Research Center/Daniel Rutter[写真拡大]
地球以外の惑星に生命が生息するのか――科学者はハビタブルゾーンをもつ太陽系外惑星の観測に取り組んでいる。現在発見されている太陽系外惑星の数は4,000を超える。そんな中、大きさと温度が地球にそっくりの太陽系外惑星を発見したと、米航空宇宙局(NASA)ジェット推進研究所が15日に発表している。
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■両条件が類似の太陽系外惑星
地球から300光年彼方のKepler-1649cは、大きさと温度が地球に最も似た太陽系外惑星だ。地球の約1.06倍の大きさをもつKepler-1649cは、恒星から受け取る光線の量が地球の約75%である。ただし地球と異なり、同惑星は赤色矮星の周りを公転しているという。
ハビタブルゾーンをもつ太陽系外惑星はこれまでも発見されている。約40光年彼方のTRAPPIST-1fは地球とほぼ同じ大きさをもつ。また、この惑星と同じ恒星の周りを公転するTRAPPIST-1dは、地球と温度が近いという。しかし、温度・大きさともに地球に似た太陽系外惑星は、Kepler-1649c以外に発見されていない。
研究グループによると、ハビタブルゾーンをもつ惑星の探索能力は年々向上しているという。だがKepler-1649cについてはまだ多くの謎が残っており、惑星の温度に影響を及ぼす大気はそのひとつだ。
■当初偽陽性だと分類されたKepler-1649c
Kepler-1649cは、2018年に役目を終えたケプラー宇宙望遠鏡のデータから発見された。ケプラー宇宙望遠鏡の目的は太陽系外惑星の探索であり、約2,600個の惑星がこれまで発見されている。
太陽系外惑星の発見には、「トランジット法」と呼ばれる、惑星が恒星を横切る際に発生する食現象を確認する手法が用いられる。だが、確認された食現象が真の惑星によるものかどうかは、精査される必要がある。Kepler-1649cはこれまで惑星ではない(偽陽性)として分類されてきた。今回ケプラー宇宙望遠鏡のデータを精査し直すことで、太陽系外惑星としてKepler-1649cが同定された。
Kepler-1649cは、生命にとって適温な環境をもつ太陽系外惑星を、赤色矮星が作り出すことを示した。今後より多くのデータが収集されれば、赤色矮星にハビタブルゾーンもつ太陽系外惑星が存在することは、珍しいことではないと判明するかもしれない。(記事:角野未智・記事一覧を見る)
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