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オリンパス、医療事業の重点強化により営業利益率20%を目指す
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オリンパスは4月6日、顕微鏡用画像解析装置「cellSens」に、ディープラーニングを活用した画像解析技術を搭載すると発表した。
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これにより非染色観察による解析を実現し、がん研究や再生医療研究などライフサイエンス研究において作業時間の短縮が可能となる。
オリンパスは1919年、山下長(たけし)により顕微鏡の国産化を目指し、高千穂製作所として創業された。1920年には国産の顕微鏡を製造し、1936年には「セミオリンパス」でカメラ事業に進出、1949年に社名を「オリンパス光学工業」へ改称した。
1950年に世界初の実用的な胃カメラの開発に成功し、2003年に現在の「オリンパス株式会社」へ社名を変更した。
2019年3月期の売上高は7,939億円。事業別の構成比は、内視鏡、治療機器、医療サービスなどの医療事業が79.9%。以下、産業分野向けのマイクロスコープ、蛍光X線分析装置とライフサイエンス向け顕微鏡などの科学事業が13.1%、デジタルカメラ、交換レンズ、ICレコーダーなどの映像事業が6.1%、その他が0.9%を占めるオリンパスの動きを見ていこう。
■前期(2019年3月期)実績と今期見通し
前期売上高は7,939億円(前年比0.9%増)、営業利益は前年よりも527億円減の263億円(同65.1%減)であった。
営業利益大幅減少の要因としては、証券訴訟の解決金194億円、米国司法省との司法取引費用97億円、中国生産拠点再編に伴う費用62億円、海外子会社の間接税の引当金53億円などの一時費用の発生が409億円。他に、医療事業の研究開発費増加などの販管費増加が125億円、医療事業の十二指腸内視鏡関連費用増加と映像事業の価格下落による原価増による98億円などの減益要因があった。一方、医療事業を中心とする販売増などによる105億円の増益要因が発生。
今期第3四半期累計(4-12月)実績は、売上高5,951億円(前年同期比2.4%増)、営業利益785億円(同281.1%増)と好調な中、今期は一時費用の減少と販管費の抑制などにより売上高8,100億円(前年比2.0%増)、営業利益920億円(同225.1%増)を見込んでいる。
■新経営戦略による推進策
医療機器業界のグローバルリーダーとして医療事業をさらに強化し、今期営業利益率目標11.4%に対して2023年営業利益率20%以上を目指し次の戦略を推進する。
●1.医療を中心としたポートフォリオへの集中
・売上高構成比約80%、営業利益構成比約95%を占める医療事業は、今後も年5%程度の市場成長率が期待でき分野であり、重点強化。
●2.内視鏡事業における圧倒的ポジッションの強化
・感染症リスクに対応して洗浄しやすいリユース内視鏡の競争力堅持。
・高度な感染症管理が必要な領域にシングルユース内視鏡のポートフォリオ拡充。
・高い成長率の中国市場強化。
●3.治療機器事業への注力と拡大
・消化器科は、消化管ステント、止血デバイスなど付加価値の高い製品を拡充。
・泌尿器科は、ファイバーレーザー技術を用いた結石処置デバイスの導入、前立腺肥大症処置ソリューションの泌尿器科クリニックへの提供。
・呼吸器科は、気管支内バルブシステムなどによる成長加速。
●4.次世代の低侵襲手術をリード
・傷つけることを少なくする低侵襲手術を支援する内視鏡の活用と、操作しやすいマニピュレータープラットフォームの検討。
世界の人々の健康と安心、心の豊かさの実現に向けて、医療分野の強化を着実に進めるオリンパスの動きを見守りたい。(記事:市浩只義・記事一覧を見る)
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