EV攻勢をかけるGMの「グローバルEVプラットフォーム」にホンダが乗った

2020年4月4日 09:30

印刷

 ゼネラルモーターズ(GM)は2020年3月4日、純電気自動車(BEV)の新たなグローバルEVプラットフォームを発表した。GMが世界のトップから陥落して久しいが、意欲的なBEVでの攻勢を仕掛けてきている。基礎となるプラットフォームは、「Ultium(アルティウム)」と名付けた独自開発のバッテリーを積んでおり、モジュラー化された駆動システムとの組み合わせで、各種レベルの車両に適合できるようになっており、コスト面で有利になるように考えられている。

【こちらも】ホンダ、新型EV「Honda e」がドイツのデザイン賞「Red Dot」最高賞受賞

 「Ultium(アルティウム)」の最大航続可能距離は400マイル(約640km)以上、動力性能においても最速0-60mph(約96km/h)3秒以下に設定出来るようだ。各種の車両に合わせて性能は設定されるのであろうが、スポーツカーとした場合のBEVの加速力は半端ではない。FWD、RWD、4WDの駆動方式についても、すべて対応可能となっている。

 BEVは基本的にシステムを柔軟に組める素地があるし、パッケージングも楽であろう。HVでトヨタに先を越された欧州・アメリカの自動車メーカーが、再びトヨタを追い越し、蹴落としていく戦略としてBEVが選ばれたようだ。世界一の市場である中国も、早くからエンジン技術で日本や欧米の技術を追いかけることを諦めており、EVで産業を成立させようと必死である。

 GMのシステム構成はトヨタの「TNGA」の考え方に共通するところがあるが、生産技術面でも激しい「つば競り合い」が行われている。第4次産業革命の実践の時期に入る世界の自動車産業では、「スマートシティー構想」などと共に産業の全体構造も進化しようとしている。トヨタは別格として、他の日本メーカーは生き残れるであろうか?現在のホンダの行き方では、GAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)のシステムの一部となるのではないかと考えられる。それは、資金運用の考え方において配当が出来るビジネスモデル、つまり資金効率を「最小の資金で実現する」ことを考えると、「技術は買って来ればよい」となるはずだ。しかし、それは創業者・本田宗一郎の夢とは全く違ってくる。

 そうした中で、GMと協力関係を進めてきたホンダは、このグローバルEVプラットフォームを使って新型電気自動車2車種の共同開発に合意した、と2020年4月2日伝えられた。このところ、ホンダは「技術は買って来ればよい」としており、技術開発には消極的なホンダらしい選択だろう。ホンダは、本気でパッケージングとデザインだけで新型車を開発する気でいるのだろうか?確かにそうした生き残り策はあるものと思うが、ホンダを半世紀以上知るものとしてはそれを見たくない気持ちだ。ホンダジェットにかけた「ホンダ魂」を、四輪車部門でも「もう一度」と思う日本人は私だけだろうか。

 GMとホンダの競作とも思えるEV2車種は、北米のGM工場で生産され、2024年からアメリカとカナダで販売が開始される予定となっている。筆者の個人的気分としては、「見たくない」成功だ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事