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コロナショックでタブーを破るFRB(米連邦準備制度理事会)の本気度
世界中がコロナショックに震撼する最中、世界の中央銀行(および中央銀行制度)は、経済の流れが滞らないようにするため次々と金融政策を打ち出しているが、その中でも本気度が高いのがFRB(米連邦準備制度理事会)だ。
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本来は3月中旬に行われるはずの定例会合に先立ち、3月3日に0.5%の緊急利下げ、同15日には異例の再利下げを行い、1.75%あった政策金利を事実上のゼロ金利した上、国債購入による量的緩和も早々に再開した。
目的はもちろん、市場に潤沢な資金を供給するためだが、それだけでは足りないと、社債やコマーシャルペーパー(CP)などの多様な資産の購入についても次々と決めていったのだ。
ちなみにCPとは、企業が短期で資金調達するための無担保の約束手形のことで、CPの直接買い取りをFRBが行うのは実に2008年のリーマンショック以来の措置である。
本来FRBは日本銀行と同じ「銀行の銀行」という立ち位置であり、民間の銀行とのやりとりを通じて、金融システム全体の安定化を図る役割をもってきた。
今回の措置のように、CP買い取りによる事業会社の直接支援を行ってしまうと、特定企業の救済にもなりかねず、思いがけない損失を被る可能性もある。
つまり、独立性が担保されていなければならない中央銀行にとっては、いわゆるタブーといっても過言ではない手段を講じていることになる。
もっともタブーを破った理由としては、FRBによる企業支援に対する「政府保証」に4,545億ドルがあてられていることもあるが、そのお構いなしの緊急金融政策が功をなし、4月3日(金)時点のNYダウ平均株価は21,052ドルと、直近安値の18,213ドルを約3,000ドル盛り返してきた。
2月中旬から始まった株価の暴落は、リーマンショックのような過去の金融危機とは異なり、その根源はあくまでも「ウイルス」の蔓延である。
FRBを始めとした世界各国の中央銀行が強力な支援措置を行う中で、コロナショックの終息に兆しがみえることになれば、想定以上の回復が見込める可能性も残されているといえよう。(記事:小林弘卓・記事一覧を見る)
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