ウシオ電機、20年3月期予想を下方修正 コロナ影響で売上案件が来期先送り

2020年3月29日 19:28

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■売上高は6.1%減、純利益は38.1%減

 ウシオ電機(6925)は27日大引け後、20年3月期通期の連結業績予想の下方修正を発表。売上高は当初予想の1,700億円から8.8%減の1,550億円(前年比6.1%減)、営業利益は100億円から40%減の60億円(同29.6%減)、純利益は115億円から39.1%減の70億円(同38.1%減)とした。

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 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受け、中国向けに伸ばしていた映像関連市場の事業環境が悪化。その他、半導体・電子部品及びフラットパネルディスプレイ市場も、客先工場の停止や入国移動制限により検収作業が滞っており、今期見込みの売上が来期以降にずれ込む可能性が出たため下方修正に踏み切った。

■産業用ランプで世界首位の光学装置メーカー

 1964年に設立後、「光」の可能性に着目し事業拡大を図ってきたウシオ電機。世界的に高いシェアを獲得しており、半導体製造向けUVランプや液晶パネル貼り合わせ装置、パネル光洗浄装置等で世界シェアの大半を獲得するなど、世界的な光学装置メーカーに成長。

 海外売上高比率は78.1%と世界を代表する企業であるが故、今回のコロナウイルスによる世界的な経済活動の停滞が業績へ影響を与えた格好だ。

■自己資本比率は71.3%と財務面は良好

 20年3月期3Q時点の連結貸借対照表によると、ウシオ電機の自己資本比率は71.3%と良好な財務状況だ。有利子負債残高は197億8,900万円である一方、現預金は680億900万円と目先の財務に対する不安は薄いであろう。

 世界的にコロナウイルスによる影響が日に日に強まる中、中国を始めとする製造業の動向がウシオ電機の業績を左右する背景から、引き続き不透明な状況が続くことは間違いない。しかしながら、20年3月より日本でサービス開始となった次世代通信規格「5G」関連で、投影露光装置の販売が増加している。

 また21年3月期は、半導体市況回復が見込まれている中、コロナウイルス影響がウシオ電機の業績にどのような影響を与えるか、ウォッチしておく必要があるだろう。(記事:拓蔵・記事一覧を見る

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