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エルメネジルド ゼニア、2020-21年秋冬コレクション 不協和音を賢く調和
エルメネジルド ゼニア XXX(Ermenegildo Zegna XXX)の2020-21年秋冬メンズコレクションが、2020年1月10日(金)イタリア・ミラノで発表された。テーマは「Art for Earth」。かつて鋳造工場の跡地が会場となり、広大な空間の中央には、アーカイブ生地のリボンを使った巨大な装飾が飾られていた。
■伝統を賢く遊ぶ
伝統的な紳士服にシルエット、色柄、質感で遊びを加えて個性を持たせたエルメネジルド ゼニア XXX。ボリューミーなコートやブルゾンと合わせた季節感を感じさせるスタイリングや、一目見ただけで心に残るアーティスティックなデザインなどが印象的深いが、特筆すべきは、現代のトラディショナルウェアへと再構築させた、精妙な技の数々。
■脱定番のシルエット
テーパードパンツとシャツにジャケット。紳士の定番ピースは、マットブラックや、ローズゴールド、カッパー、ピーコックブルーなど深みのある中間色がのることで、落ち着きや信頼感が増してみえる。
しかしながら、よくよく見てみると、アーティスティック ディレクターのアレッサンドロ・サルトリならではの知的な遊びが満載だ。ややボクシーなシルエットに整えられた3つボタンのジャケットなどは、ボタン位置がやや右斜めに入っており、アシンメトリーなフォルムを振り切って横結びのカシュクールタイプまで変形しているものもある。
インナーに仕込んでいたシャツも、首回りが落ちていて鎖骨が露わ。襟そのものも大きく、シャツに代わってジップトップスなどが堂々とジャケット下から顔を出しているものもあり、知的な遊び心が連続的にスパークしている。ボトムスには、まるであみだくじのように、縦横さまざまな方向に無数にステッチや切替が施されている。
■リズミカルな模様で色気を引き出す
ジャケット全面には、プリント、ジャガードで再現された風景のようなドラマティックな柄がのる。砂紋のようにもみえる幾何学模様のうねるようなラインに色がのり、光がのっていくと、シングルジャケットもダブルジャケットも色気が増してくる。
頭にちょこんとのった帽子や丸みのあるラウンドバッグなど、サルトリアとは縁遠そうな小物とコンビネーションすると、なおさら艶やかさは増してみえる。
アウターとのスタイリングもアンバランスで、ドロップドショルダーのレザージャケットやシャイニーなロングコート、レザー地のパフィーなジャケットなど、ボリューム感のあるアウターが、スーツスタイルとマッチさせられているのだ。
後ろに深くプリーツの入ったボリューミーなコートとスーツのマッチ、コートとパーカーの融合…何度も繰り返し、斬新な紳士服のスタイリングが提案される。
一つひとつを観察すると、色柄もシルエットもディテールもキャラクターが立っていて不調和となりそうだが、どんなに重ねても、一つのピースの中に遊びを仕掛けても、自然とキレイにまとまるのは、歴史あるエルメネジルド ゼニア XXXのなせる技。
身体が離れたゆるりとしたシルエットも、芸術作品のようなドラマティックな色柄も、アンバランスなスタイリングも、各々の主張を譲り合いきれいに融合している。
小物では、厚みソールのブーツやダービーシューズ、オーバーサイズのウエストバッグなど、実用性に富んだアクセサリーに加え、ライカとのコラボレーションによる、カメラバッグ、ホルダー、ストラップも登場している。
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