イオン、19年3~11月期はカジタク不正会計で赤字に 23年ぶり社長交代も発表

2020年1月12日 18:16

印刷

■最終赤字も実質は過去最高業績

 大手流通グループのイオン(8267)は、10日大引け後に20年2月期第3四半期の連結累計決算を発表した。営業収益は前年同期比0.8%増の6兆3,870億500万円だったが、営業利益は同5.4%減の1,030億8,100万円、経常利益は同15.3%減の933億7,300万円、最終利益は63億4,300万円(前期は6億3,000万円の黒字)の赤字と発表した。

【こちらも】イオン、食品廃棄物半減へ食品メーカー21社と国際プロジェクト始動へ

 なお、通期予想の変更は行っていない。進捗率は3Q時点で、営業収益が74.3%、営業利益が44.8%、経常利益が42.4%と低調に留まっている。但し最終利益の赤字は、1Qに一括計上した連結孫会社であるカジタクで判明した不正会計に対する修正が影響しており、その影響を除いた実質の3Q累計では、営業利益は1,122億円と過去最高益となり、最終利益も45億円の黒字と良好な決算だった。

■GMS事業の損益改善と海外が好調

 日本を代表する大手流通企業のイオン。総合スーパーとしての小売り事業から、銀行やクレジットカードなど金融事業にも積極的に取り組んでいる。近年は祖業であるGMS(総合スーパー事業)による赤字を、金融や不動産事業(イオンモール等運営)によって支えてきていたが、3QではGMS事業の赤字幅が縮小し、損益改善傾向にある。

 また、中国やASEAN向けの海外事業へ積極的に取り組んでおり、エリア別営業利益シェアは、16年2月3Q時点では4.5%だったが、直近3Q時点では20%まで拡大させている。ASEANエリアでの利益確立と中国エリアでの黒字化に成功し、イオンの海外戦略が徐々に花開いている状況だ。

■23年ぶりに社長交代

 また同日に、1997年からイオングループの成長をけん引してきた、創業家出身の岡田元也代表執行役社長グループCEOが取締役兼代表執行役会長に就任し、吉田昭夫代表執行役副社長が代表執行役社長となる人事を発表。

 イオン創業から51年目となる2020年、23年ぶりの社長交代となる。吉田氏は生え抜き社員であり、現在イオンモール代表取締役社長を兼務。イオンのディベロッパー事業をけん引してきた実績をもつ。

 これまで創業家主導の経営体制をとっていたが、創業家以外の生え抜き社員を社長に抜擢し、目まぐるしく変化する流通業界での生き残りに臨んでいく。但し、引き続き岡田社長は会長として影響力を堅持する模様。損益改善が進みつつあるGMS事業だが、引き続き赤字が続いており、吉田社長をトップとしてどのように改善していけるか気になるところだ。(記事:拓蔵・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事