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犬猫の診療、犬は減少 猫は増加 獣医師は増加傾向で競争激化
矢野経済研究所が国内のペット・動物病院の運営等について法人アンケート調査[写真拡大]
農林水産省の統計によれば届出のある獣医師の数は増加傾向で推移しており、特に小動物診療を行う獣医師の増加が著しくなっている。しかも近年の動向としては、犬猫等の小動物診療施設は関東、関西、中京等の大都市圏に集中する傾向がみられる。経済センサス等の統計を見ると小動物診療施設の従業者数は増加傾向で、また個人開業から法人経営へとシフトしているようだ。
動物病院全体の1件当たり売上高は飽和状態だが犬猫の売上は高い伸びを維持しており、この背景として1世帯当たりのペット関連支出の増加が家計調査でも確認できる。ペットフード協会が公表した犬猫の飼育頭数の推移を見ると猫は900万頭台後半を横ばいで推移しているのに対して犬は2008年の1310万頭をピークに18年には890万頭と大幅に減少している。
矢野経済研究所が国内のペット・動物病院の運営実態、製品・メーカー評価、ニーズ等に関する法人アンケート調査を5~7月に実施し、その結果を6日に公表している。
この調査で、犬猫の診療頭数について増減傾向を増加・減少・横ばいの三択で答えてもらった結果、犬では減少と回答した施設割合が増加のそれを約20ポイント上回り、一方、猫については増加の施設割合が減少のそれを20ポイント上回っている。臨床現場でも犬診療の減少傾向、猫の増加傾向がみられるようだ。
地域別に見ると、犬では東京都、政令指定都市、その他地域、いずれの地域においても減少が増加を上回っており、猫は逆に地域を問わず増加が減少を上回っている。増減差をみると、犬は東京都、政令指定都市より非都市部の方が増減の差は大きくなっており、非都市部において犬の診療頭数の減少傾向が著しいようだ。
農林水産省の統計では、小動物医療に携わる獣医師の数は10年に1万3404人であったものが16年には1万5463人と10年比で15.4%増加しており、犬猫を中心とする小動物病院および獣医師は増加傾向だ。また、高齢化に伴いペットにおいても癌や慢性疾患が増加傾向で治療や診断に関する製品・サービスへのニーズも影響を受けている模様だ。
競争が激しさを増す中、十分に経営課題に取り組んでいる施設は少数のようだ。レポートでは「競争状況は今後一層厳しさを増すと思われるが、施設の所在地域や規模により捉え方に違いがみられている」と指摘している。(編集担当:久保田雄城)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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