10月の小売販売額は前年比7.1%減、消費増税後の買い控えが影響大

2019年12月3日 19:53

印刷

 経済産業省が11月28日に公表した「商業動態統計(速報)」によると、10月の小売業販売額は前年同月比7.1%減となる11兆900億円で、3カ月ぶりの前年割れとなった。消費増税前の駆け込み需要が起こった9月期からの反動、さらに全国的に多くの被害をもたらした台風19号による影響が大きかった。この落ち込みを受けて、経済産業省は10月の基調判断を、9月の「増加している小売業販売」から「一進一退の小売業販売」へと下方修正した。

【前月は】9月の小売販売額は前年比9.1%増、増税前の駆け込み需要が大きく影響

 小売業販売額を業種別にみると、前年同月比プラスとなったのは「医薬品・化粧品小売業」(前年同月比0.3%増)のみで、他の「自動車小売業」(同17.0%減)、「機械器具小売業」(同15.0%減)、「各種商品小売業」(同13.2%減)、「燃料小売業」(同13.0%減)、「織物・衣服・身の回り品小売業」(同5.7%減)、「その他小売業」(同5.6%減)、「無店舗小売業」(同4.1%減)、「飲食料品小売業」(同2.2%減)は軒並み前年割れとなった。消費増税の反動が大きい自動車や家電(機械器具小売業に分類)の販売不振が目立った。

 業態別の販売額では、「コンビニエンスストア」が同3.3%増となる1兆314億円、「ドラッグストア」が同0.1%増となる5,325億円となり、前年実績を上回った。コンビニエンスストアは消費増税後の反動や台風による影響は比較的小さく、特に「非食品」(同10.2%増)が好調だった。ドラッグストアも、「調剤医薬品」(同8.9%増)、「食品」(同7.4%増)の売れ行きが伸びた。

 一方、「百貨店」は同17.3%減(既存店ベースで同16.4%減)となる4,265億円、「スーパー」は同3.7%減(既存店ベースで同4.3%減)の1兆312億円、「家電大型専門店」は同14.2%減の2,659億円、「ホームセンター」は同7.1%減の2,550億円となり、前年実績を下回った。

 百貨店とスーパーは主力商品の1つである衣料品の売れ行きが前年から大幅に落ち込み、さらに家具・家庭用品の販売額も伸び悩んだ。家電大型専門店は消費増税後の需要の冷え込みの影響を強く受け、「カメラ類」(同28.5%減)、携帯電話などの「通信家電」(同27.4%減)、冷蔵庫や洗濯機などの「生活家電」(同17.6%減)が前年から大幅マイナスとなった。(記事:荒川・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事