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10月15日に地球に最接近した小惑星2019TA7とは
2019年10月9日に発見された小惑星2019TA7は、直径約34mで小惑星というよりは宇宙空間を飛来する岩という表現のほうが実態に近い。この小惑星は厳密な分類ではアテン型小惑星に属するのだが、専門的過ぎてあまり聞き覚えのない言葉のため、少しだけ解説をしておくことにする。
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アテン型小惑星とは、地球に接近する軌道を有する小惑星の分類の1つで、1976年に発見された小惑星アテンが、その分類の第1号である。以後、これと似た軌道の小惑星がいくつも発見され、このような軌道を持つものをアテン型小惑星に分類することになった。
小惑星といえば普通は、火星と木星の軌道の間にあるアステロイドベルトの中にあるとイメージしがちである。実際にアステロイドベルトには100万個以上の小惑星が存在しているのだが、アテン型小惑星はこれまでに1000個程度が発見されている。
小惑星2019TA7は10月15日に地球からおよそ150万kmのところまで接近した。これは月までの距離の約4倍に相当する。IWAN(International Asteroid Warning Network)では、地球から750万km以内にある天体を潜在的な危険を持つ存在(PHA)として注視しているため、2019TA7も指名手配犯だったことになる。
2019TA7の直径34mは、2013年にチェリャビンスクに落下した隕石と同クラスであり、地球に衝突していたら、被害は小さくはなかったであろう。ちなみにチェリャビンスク隕石では広い範囲にわたり、窓ガラスが破壊され、1000人以上の負傷者を出している。
なお、2019TA7が前回地球に接近したのは、今から115年前の10月14日のことだった。もちろん当時の人類は、この小惑星の接近に全く気付くことはなかったであろう。この数日間における軌道を観測して推定された日付なのだが、今後は次回いつどのくらいまで地球に接近するのかも容易に計算が可能になることだろう。
IWANによれば潜在的に危険を持つ天体PHAは、1935個が確認されており、監視を続けているが、最新の情報によれば、向こう100年間は、これらが地球に衝突する恐れはないとのことである。
ただし、この情報で安心してはいけない。発見されていないPHAがまだまだたくさん存在している可能性もあるからだ。現に10月9日に2019TA7が発見されたばかりであるし、今後も続々と発見されてゆくことであろう。
私たちが子供のころはある日突然、大きな隕石が地球を襲う懸念があったが、現在はIWANのような国際的組織がPHAを監視し、隕石落下予報が出せる体制が整いつつあることだけは確かである。アメリカ映画のディープインパクトのような現実が訪れないことを願いたいものだ。(記事:cedar3・記事一覧を見る)
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