天の川銀河中心のブラックホールが謎の増光 カリフォルニア大学の研究

2019年9月23日 17:33

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 米・カリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究チームは9月11日、天の川銀河の中心にあるブラックホールが2019年5月に、過去24年間の観測中最も明るくなったと発表した。

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■銀河中心のブラックホール

 ブラックホールとは光も脱出できない程の強い重力を持った天体である。太陽の数十倍の質量を持つ恒星が超新星爆発を起こした後に、ブラックホールができるとされている。

 ところで、ブラックホールは必ずしも一つの星のなれのはてとは限らない。超大質量ブラックホールは銀河中心にあるのが一般的である。これは銀河内でできた複数のブラックホールが、銀河中心に集まってできたものと考えられる。

 我々の住む天の川銀河の中心にも、モンスター級のブラックホールが銀河の主のように鎮座している。このブラックホールは「いて座A*」と呼ばれており、周囲の星々の軌道からその質量は、太陽質量の約400万倍と見積もられている。

 ブラックホールに物質が落ち込んだ場合、重力エネルギーがX線や電波として放射される。しかし、いて座A*については過去の観測では放射がほとんど見られなかった。


■今回の観測

 研究チームはケック天文台で2019年4月と5月の4晩にかけて、いて座A*を近赤外線で観測した。いて座A*の明るさはいつも変動しているが、観測期間中に非常に大きな明るさの変化が3回見られた。

 この増光の原因は、ブラックホールに塵やガスなどの物質が落ち込んだためと考えられる。これはたまたま今回だけの特殊な現象なのだろうか?それとも、いて座A*の活動が活発化している兆候なのだろうか?

 活発化の兆候とした場合、その原因としては、すぐそばを通った星のガスを飲み込んだというものや、大きな小惑星が飲み込まれたという可能性も考えられる。

 研究チームは現在も引き続きいて座A*の観測を行っており、今後得られる結果を解析することによってこの疑問を解明しようとしている。(記事:創造情報研究所・記事一覧を見る

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