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ロシアでのビジネス、「有望」とする日系企業の割合が減少 経団連調査
経団連などがロシアのビジネスに関するアンケート結果を発表し、ロシアでのビジネスを有望と見ている企業は少なくないものの、行政や法制度などに多くの問題点を抱えていることが分かった。
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■ロシア・ビジネスを「行っている」企業は66社
4日、日本経済団体連合会(経団連)と日本ロシア経済委員会が、「ロシアのビジネス環境等に関するアンケート(2019年度)」の結果を発表した。これは、日本とロシアにおける貿易や投資関係のさらなる緊密化という観点から、ロシアのビジネス環境における課題を的確に把握することを目的に行われたアンケートで、経団連会員と在モスクワ・ジャパンクラブ会員企業99社が回答したものを集計・分析している。
ロシア・ビジネスを「行っている」と答えた企業は66社(74.2%)、「実態はないが予定あり」が2社(2.2%)、「実態、予定とも現時点ではない」が21社(23.6%)となっている。それぞれにおける昨年度の割合は、72.6%、2.2%、25.6%であり、大きな増減はなかった。
■「非常に有望」と「有望」が過去最低に
ロシア・ビジネスを行っている、もしくは今後行う予定のある企業に対して今後の展望を尋ねたところ、「非情に有望」と答えた企業の割合は5.9%、「有望」は55.9%で、両方を合わせた割合の61.8%は、2010年以降で最も低い割合となっている。
2010年以降で「非常に有望」が最も多かったのは2011年(29.9%)、「有望」は2012年(67.9%)が最も多かった。「大きく変化しない」は33.8%、「悲観的」は1.5%、「その他」は2.9%となっており、「大きく変化しない」が2015年の13.0%から5年連続で増加している。
■「有望」な理由は「広大な国土と天然資源」
ロシア・ビジネスを行う予定がない企業に対しても同様に今後の展望を尋ねたところ、「非情に有望」が5.0%、「有望」が25.0%で、2013年(非常に有望:1.5%、有望:42.4%)ほどではないものの、2018年の「非常に有望」がゼロ%、「有望」が14.3%から大きく増えている。
「非常に有望」や「有望」とする理由については、「広大な国土と豊富な天然資源」、「人口と市場規模の大きさ」、「老朽インフラの更新需要」、「経済成長の堅調さ」などがあがっているという。
■「資源・エネルギー」が有望も割合は減少
有望と思われる分野を尋ねたところ、最も多かったのは「資源・エネルギー」で54.8%。ただし2017年の61.2%、18年の58.8%から減少している。ついで、「インフラ」が31.2%(前年度比:4.1ポイント減、以下同じ)、「医療関連」が24.7%(3.1ポイント増)、「自動車・自動車部品」が21.5%(3.0ポイント減)、「食品」が17.2%(4.5ポイント増)、「化学・石油関連」が12.9%(1.8ポイント減)などとなっている。
■ロシア・ビジネスの問題点は「行政」「法制度」
ロシア・ビジネスの問題点について尋ねたところ(複数回答)、最も多かったのは「行政」で27件。ついで「輸出入手続き」が24件、「法制度」が22件、「税制・会計制度」が15件と、行政や法制度に関する問題点が上位を占めた。
以下は、「駐在員の出入国・就労」が13件、「インフラ」が12件、「ロシア企業の資金繰り」が11件、「金融政策・制度」と「関税制度・政策」がそれぞれ11件で続いている。
それぞれの問題点について具体的な事例について、「行政」では「窓口対応および関連法規制の統一ビジネスを行う上で必要性の疑わしい審査や規制が多く、費用が増高」、「当局宛報告書類の増加、報告様式の頻繁な改定のため、報告作業のIT化が難しく、多くの人的リソースを非生産部門に充当」なと。「輸出入手続き」では「NIS諸国(ソビエト連邦やその構成共和国であった地域)での販売活動の促進を検討したが、第三国貿易が許可されず断念した経緯あり」、「法制度」では「複雑な医療法規制。特に薬事対応の負荷がビジネスを行う上で大きな支障に」などがあがっている。(記事:県田勢・記事一覧を見る)
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