臨床検査の世界市場、中国などアジアを中心に拡大 23年は18年比23%増

2019年8月28日 18:52

印刷

 富士経済が26日に発表した臨床検査世界市場の調査結果によると、中国を中心とするアジアが大きく伸長するとともに、先進国でも遺伝子検査や病理検査など先進的な検査への需要が堅調であることから、市場は拡大するという。同調査における臨床検査市場は臨床検査薬と検査装置からなっている。

【こちらも】免疫血清検査の国内市場、検査数・検査薬ともに順調に拡大 富士経済

 18年の世界市場は672億ドル、23年は18年比23%増の827億ドルを予測している。欧米や日本では先進的な分野を除き市場は落ち着いているものの、中国や東南アジアでは広大な人口を背景にさらなる伸長が期待されている。今後、中国やインドの地方農村部にまで検査環境が整備されれば、市場はさらに拡大するとしている。

■地域別市場(18年)

 北米が世界市場のシェア36%と市場を牽引しているが、近年はアジアの伸長によりシェアは微減傾向にあるという。欧州も28%と存在感を示しているが、現在は市場が落ち着きシェアは微減。今後は環境整備の遅れている東欧やロシアでの伸長が期待されている。

 アジアはシェア24%と中国やインドなど圧倒的な人口を背景にした経済成長により、市場が急伸している。中南米やアフリカ、中東といった開発途上国も環境整備が進めば市場が大きく拡大する余地があるという。

■検査分野別市場(18年)

 「免疫血清検査」は世界シェア約40%と市場が最も大きく、開発途上国にて普及が進んでおり、今後の拡大が期待されている。「血液検査」もシェア8%とアジアやその他地域で順調な拡大が予測されている。

 「遺伝子検査」はシェア17%と先進国を中心に市場が形成されている。結核やマラリア、風土病の検査の開発も進んでいることから、今後も市場が拡大すると見ている。

 がん診断などに実施される「病理検査」は6%と全体では小さいが、世界的な長寿化やがん患者の増加により、市場は伸長している。

 日本でも「病理検査」は治療薬の適性や治療効果測定への需要の高まりにより、堅調な拡大を続けている。富士経済による4月の発表によると、23年の国内市場は18年比23.5%増の105億円まで伸長するとしている。

 同検査はコンパニオン・ダイアグノスティックス(特定の治療薬の投与可否を決定するための検査薬)としての需要も期待されることから、今後さらに重要性が高まるという。

関連キーワード

関連記事