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藻類による脂質生産の制御因子を特定 京大などの研究
オイルの蓄積を制御する因子(LRL1)が変異すると、リン欠乏時の生育が抑制されることが判明した。(画像: 京都大学の発表資料より)[写真拡大]
京都大学や東京工業大学などの研究グループは、有用脂質生産を期待される藻類「クラミドモナス」で、リン・窒素欠乏時にオイルの蓄積を制御する因子の同定に成功した。この因子は、栄養が欠乏して細胞内にオイルが大量蓄積するときに機能する重要なものである。今回の発見により、脂質蓄積の仕組みをコントロールし、思うように有用脂質の種類や量、生産時期を決める仕組み作りにつながると期待されている。
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研究グループは、京都大学生命科学研究科の福澤秀哉教授、東京工業大学生命理工学院の太田啓之教授、かずさDNA研究所の櫻井望チーム長らからなる。
■石油由来の脂質の代替
これまで使用されてきた有用脂質は、石油資源から生産されるものが主要であった。そこで環境へ配慮し、光合成を行う植物や藻類のバイオ燃料で代替する動きが現れている。中でも藻類は、単位面積当たりの有用脂質の生産量が高い上、トウモロコシなどと異なり食用作物と競合しないという大きな利点をもつ。
藻類により作られるトリアシルグリセロールは、単位容積当たりのエネルギーが高く、液体燃料に直接転用可能だ。栄養欠乏時にオイルが蓄積されることは知られていたが、その仕組みを解明することで藻類によるオイル合成を制御できるのではないかと期待されていた。
■研究の概要
研究グループは、クラミドモナスのオイル合成の最終過程を担う酵素「DGAT」の遺伝子と同調して発現する遺伝子を探索。その中でも、オイルが蓄積される時期に強く発現する遺伝子「LRL1」(Lipid Remodeling regulator1)を候補とみた。
LRL1の発現を抑制したクラミドモナス(変異体)とそうでないものを比較したところ、変異体の方がオイル蓄積が大きく抑制されていることがわかったという。さらに、栄養欠乏時は平常時よりも細胞増殖が抑制され、細胞の緑色がやや薄くなったという。
またLRL1は他のタンパク質と共同し、リン欠乏時に起こる脂質代謝の変動を直接制御していることも判明した。なお、このLRL1はリン欠乏のみならず窒素欠乏時にも発現するため、ひろく栄養欠乏時のオイル蓄積に関係する重要な因子といえる。
■今後の展開
藻類の一つ「クラミドモナス」で、オイル蓄積を制御する重要な因子が特定された。有用脂質の生産源として注目されている藻類で、この発見があったことは大きな一歩であり、各種有用脂質の生産を自在に操る仕組みの実現が期待されている。
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