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意外と知らないMicrosoft Windows 10のライフサイクルとは
2015年の登場から、それまでのWindowsというOSパッケージというだけの考え方から、「サービスとしてのWindows(WaaS)」として提供形態を大きく変えたWindows 10。今回はその意外と知られていないライフサイクルの考え方を、さまざまバリエーションのあるエディションに応じて解説する。
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●Windows 10の更新ルール
Windows 7や8.1など、それまでの製品と異なり、「Windows 10」という一つの名前で継続的にサービスとサポートが提供されるようになった。これをMicrosoftではWaaS(Windows as a Service:サービスとしてのWindows)と呼んでいる。このサービスの提供を受けるためにクライアント側では、
・サービスを受けるために必要なサービス要件とシステム要件に従って最新の環境を保っておくこと
・サービスを受けるための正規のライセンスを保持していること
が必要とされている。
Microsoftはこのポリシーに従って、Windows 10に新しい機能を追加するための機能更新プログラムを1年に2回、およそ3月と9月ごろに提供している。この機能追加サービスをSAC(Semi-Annual Channel:半期チャネル)と言う。これによってWindow 10のバージョン番号が、たとえば2017年9月提供バージョンであれば1809、2019年3月であれば、1903といったように変わっていく。
クライアントはWindows Updateや各企業のクライアント管理システムなどによって、この更新を適用し、さらに基本、毎月第2火曜に提供される品質向上プログラムを適用することで、最新の状態を保つことができるようになっている。品質向上プログラムにはセキュリティアップデートとその他の修正プログラムが含まれている。
●Windows 10の基本的なライフサイクル
SACで提供されるWindowsの各バージョンのメインストリームサポート期限は、Windows 10 の「Enterprise」「Education」「Pro」「Pro for Workstations」「IoT」「Home」の各エディションのうち、3月リリースのバージョンでは、そのエディションのリリース日から18カ月となっている。また9月リリースについては、EnterpriseとEducationについてはリリースから30カ月、それ以外のエディションでは3月と同様18カ月となっている。
つまり現在最新のバージョンであるWindows 10バージョン1903は、2019年5月21日がリリース日であり、すべてのエディションでメインストリームサポートの期限は20年12月8日となる。
また17年10月17日リリースのバージョン1709は、EnterpriseとEducationが20年4月14日まで、その他のエディションは19年4月9日までと、すでにメインストリームサポート期限が終了していることになっている。
なお基幹業務など使用するシステムでは、独自のアプリケーションの動作などに問題がでることもあるため、機能更新プログラムをすぐに適用できない場合もある。
Microsoftでは、基幹業務をもつ企業では、まずはテスト環境においてさまざまな業務に支障がないかを確認、その後4カ月程度ですべて、または一部のクライアントに更新プログラムを適用していくシステムを推奨している。
このためHome以外のエディションでは、機能更新プログラム適用のタイミングを変更することができる機能が用意されている(Homeエディションにはこの機能が用意されていない)。
ただし一部のエディションでは、18カ月の製品ライフサイクルが切れる時点で、強制的に機能更新プログラムが適用されてしまう場合もある。
どうしても業務運用の環境を簡単に変えられないようなケースに備え、Windows 10にはEnterprise LTSC(18年まではLTSB)という長期サービスチャネルのエディションが用意されている。LTSCはLong Term Servicing Channel:長期サービスチャネル、LTSBは末尾がChannelではなくBranchの略で、以前の製品と同様、メインストリームサポートと延長サポートを合わせて、10年間のサポートを受けることができるようになっている。
LTSCエディションは、基本的にオフィスなどの製品を導入せず、基幹業務(ミッションクリティカル)の専用システムだけが動作する環境などを想定して設計されている。たとえばPOSシステムなどの流通業界の最前線、また医療現場などが考慮されている。
OSはプログラムの集合体であり、常にバグや思わぬ脆弱性などをはらむセキュリティ上の問題も想定しておかなければならない。
そのためには、製造元が提供する最新のパッチを適用し、常に最新の状態を保つことが肝要なのは言うまでもない。しかし上記のように、そうした機能更新を適用した場合、業務に大きな支障をきたしてしまうことも一方では考慮しなければならない。
自分・自社・自セクションなどの環境を考慮し、機能更新の提供ルールやライフサイクルまで把握した上でどのエディションのOSを導入するのか、システム管理者にとってこれらは重要な課題となっている。(記事:kurishobo・記事一覧を見る)
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