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地方銀行、収益減少傾向続く 不良債権額・率ともに微増傾向
金融庁が地域銀行の平成31年3月期決算の概要を公表。業務粗利益は前年同期比474億円マイナスの4兆2233億円で収益減が続いている。貸出金は拡大傾向も不良債権率が微増に。自己資本比率は低下。[写真拡大]
地方経済が停滞し続けていることは周知のことだ。地方銀行や第二地銀などの地域銀行にとっても厳しい状況が続いている。人口減少を背景にした企業数の減少によって資金需要自体が先細っている上に日銀のゼロ金利政策で本業である与信業務での金利収入も先細っているからだ。
貸出先を失った地方銀行は投資不動産用の個人向け融資のシェアを拡大してきたが、人口減少の中、賃貸住宅の過剰供給を生み出し空き室率の増加など不良債権化への兆しが出てきた。これに対して金融庁は不良債権化への懸念を早期に表明、指導も強化され、現在では個人向け不動産融資は減少傾向だ。
2019年3月決算の数字を見ると、地域銀行の7割は減収傾向で推移し続けている。うち、不正融資の発覚したスルガ銀行と大阪の第二地銀の大正銀行は既に赤字に転落している。
6日、金融庁が「地域銀行の平成31年3月期決算の概要」を公表した。集計対象は地方銀行64行、第二地方銀行40行及び埼玉りそな銀行の105行だ。
19年3月期決算での業務粗利益を見ると4兆2233億円、前年18年3月期が4兆2707億円であったので474億円の減益だ。これから経費を差し引いた実質業務純益は19年3月期で1兆2221億円となり、経費が18年3月期の3兆528億円から19年3月期の3兆11億円と517億円減少したため昨年と比べ43億円、0.4%の増益となっている。当期純利益は与信関係費用の増加等により7686億円で前年の9965億円から2279億円、22.9%の大幅な減益となっている。
19年3月期の貸出金は269.3兆円で前年の260.6兆円より87兆円の増加、引き続き増加傾向を維持、薄利多売で減益傾向を底支えしているという状況だ。当然、自己資本比率は分母が増えることになるので低下する。総自己資本比率は13.84%、前年の14.01%と比べ低下し、バーゼル合意に基づく国際統一基準行8%を満たしているのは11行となっている。一方、自己資本比率は9.47%で前年の9.70%より減少、国内基準4%を満たしている銀行は94行と前年の95行から1行減少している。
不良債権額は4.8兆円、不良債権率は1.74%で、いずれも前年より増加へ反転している。金融庁は現在、検査態勢を強化するとともに地域銀行の再編を推し進めているが、低金利政策の中、収益モデル自体が成り立たなくなっており、再編とともに経営モデルを変革する抜本的な改革が必要なようだ。(編集担当:久保田雄城)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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