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「木育」から「水育」まで、「自然から学ぶ」系の企業CSR活動
アキュラホームの拠点近隣にある小学校や中学校を対象に、間伐材を加工して製作した小学校学習机の天板を寄贈[写真拡大]
「自然は常に教育よりも一層大きな力を持っていた」
これは、フランスの著名な哲学者、ヴォルテールが残した言葉だ。日本だけでなく、世界中の先進国で今、少子高齢化が加速している中、この言葉はより深いメッセージとなって響いてくる。
文部科学省の中央教育審議会が報告した「少子化と教育について」によると、少子化の進行は、労働力人口の減少や経済成長の停滞、社会の活力の減退などにつながるだけでなく、子ども同士が影響しあって成長する機会が減少したり、過保護や過干渉を招きやすくなるなど、教育面でも様々な悪い影響を及ぼす可能性があるという。
そんな中、自然と触れ合う機会を子どもたちに提供する企業CSR活動が増えている。
例えば、木造住宅メーカーのアキュラホームが2010年から毎年実施している「木望(きぼう)の未来プロジェクト」などがある。これは、次代を担う子どもたちに「森のすごさ」「木の素晴らしさ」「物づくりの楽しさ」の理解を深めてもらうことを目的として、アキュラホームの拠点近隣にある小学校や中学校を対象に、間伐材を加工して製作した小学校学習机の天板を寄贈、同社の大工が古い天板と交換するという活動だ。9年間で累計13,391枚もの天板を寄贈している。
また、同社では多くの小学校で木育授業「ふれあい授業」を行い、講演やカンナがけ体験などを通じて森林の大切さなどを学び、木材に直接触れることで木の温もりを知る機会を提供している。
さらに、アキュラホームでは林野庁の依頼を受けて、今年5月に東京都立日比谷公園で開催された「森と花の祭典 みどりとふれあうフェスティバル」(みどりの感謝祭運営委員会主催)において、同社が間伐材の利用促進として製品化した「木のストロー」の製作体験イベントも実施。子供たちが楽しみながら、木にふれあう様子が見られた。
大手菓子製造業者の森永製菓も2007年から同社所有地の「伊賀・エンゼルの森」で、子どもたちが自然とふれあいながら野外炊事に挑戦するという活動のほか、未就学児向けには親子でどろんこになりながら森を探検する「森のようちえん」や、姫路市の無人島「松島」で電気も水道もない生活を体験する「無人島探検隊」などの活動も行っている。
飲食メーカーのサントリーは、環境省と文部科学省の後援のもと、子どもたちが水の大切さや水を育む自然や森の大切さ、未来に引き継ぐために自分たちに何ができるかを一緒に考える独自のプログラム「水育(みずいく)」を展開。「森と水の学校」と「出張授業」の2つを中心に活動している。
さらに、セキスイハイム工業・中部事業所では、地元の豊橋市の子ども会と連携して、絶滅危惧種のアカウミガメが産卵に上陸することで知られる表浜海岸にNPOの指導の下で、竹で堆砂垣(砂浜の飛砂を防止するための垣根をつくるなどの「こども自然塾」活動に取り組んでいる。
これらの活動のほとんどは、環境に対する子どもたちの理解を深め、現在の状況に問題意識を持ってもらうことを主な目的として掲げているが、それだけにとどまらず、木や森、四季折々の自然の美しさや厳しさとふれあうことで、子どもたちが学びとることも大きいのではないだろうか。少子化に加え、社会のデジタル化が進み、今後ますます人間同士のかかわりが希薄になってくると思われる中、こうした活動が社会に及ぼす意味は大きい。(編集担当:今井慎太郎)
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